【どこを見る?】初めてのマンション訪問査定で不安なあなたへ|プロの本音
「初めてのマンション査定で何を見られるんだろう…」
「部屋の散らかりは減点されるの?」
「事前に掃除しておくべき?」
こんにちは、稲沢あんしん不動産の佐藤です。
初めてのマンション訪問査定は誰でも緊張するものです。
他人に自分の大切な住まいの値段をつけられることに不安を感じるのは当然でしょう。
今回は、プロが実際に現地でどこを見て、なぜそれを確認しているのかを本音でわかりやすくお伝えします。
私たちが細部まで詳しく見るのには理由があります。
それは、売主であるあなたを守るため、そして正しく価値を見極めて、少しでも高く売るためなのです。
なぜ訪問査定をするのか
なぜ私たちが必ず現場に行って不動産を見ることにこだわるのでしょうか。
それは、写真や間取り図だけでは見えないマンションの「本当の価値」を見極めるためです。
同じマンションの同じ間取りでも、日当たりの違いで100万円以上価格が変わることもあります。その違いは実際に見ないとわかりません。
外からでは見えない要素がたくさんあります。例えば、室内のリフォーム履歴、管理の状態、周辺環境などです。
こうした細かい部分まで確認することで、次のことが可能になります。
- 問題があるなら先に把握してトラブルを防ぐことができる
- 良い点はアピールして価格を引き上げることができる
特に重要なのは「契約不適合責任」です。売主は売却後3ヶ月間、買主に対して補償義務が発生することがあります。
そのためにも、事前の詳細な確認は売主であるあなたの利益を守るための重要な手段なのです。
高い査定額を得るために事実を隠したり嘘をついたりすることは、後で問題が発覚した際にあなた自身を守れなくなるため、絶対に避けるべきです。
私たち査定のプロは、一般の方が気づかない「価値」と「リスク」の両方を見出します。長年の経験で培った「プロの目」は、売主様であるあなたの利益を最大化するための重要なツールなのです。
実際にマンションの現地の査定で見ているポイント
訪問査定チェックリストはこちらからダウンロードできます
では、実際にお部屋に行って見るポイントをお話しします。
室内チェックポイント
1. 玄関のニオイ・清潔感
第一印象が大事です。ペットやタバコの臭いは評価に影響することもあります。
2. 床やクロスの傷み具合
中古住宅の場合は傷や汚れはあって当たり前です。
新築やリフォーム済ならば細かい仕上がりを見ますが、中古住宅の場合は明らかな不具合箇所や修繕箇所を把握します。
例えばバルコニーの掃き出し窓の床は焼けやすいので、ここの劣化がひどくないかどうかを見ます。
ここの劣化がひどいと購入する人は「床張り替えなきゃいけない」と思うポイントです。
3. リビングの日当たり・広さの印象
図面だけではわからない「体感」を見ています。
過去の経験では
外から見た感じでは
バルコニーに目の前の建物が近接しているように見えて
日当たりが厳しいかな?と推測してたお部屋がありました。
実際にバルコニーから南側を見ると
ちょうどその部屋だけ
眺望が抜けていて、
他の部屋の事例よりも良い条件で売れた経験があります。

その理由は、
お部屋のど真下が
細長いコインパーキングだったからです。
その逆もあります。
マンションの3階の部分でバルコニーの目の前が3階建ての家の3階部分だったため、眺望が厳しかったというマイナスの経験もあります。
マンションの図面上の部屋位置と南側の建物の関係は実際に見ないと分からないところです。
4. 水回り(キッチン・浴室・洗面・トイレ)
単純にコンロがつくかどうか、お湯が出るかどうかはもちろんチェックします。
普段生活していると当たり前になって気づかないことも、ヒアリングすると「ああ、そこは壊れていました」という話はよくあります。
マンションでシロアリ被害の痛い経験
私は設備の故障に特に注意を払っています。
過去に春日井市のマンションで、買取後にシロアリ被害が発覚した経験があります。
マンションでシロアリというと意外に思われるかもしれませんが、1階の物件で起きた事例です。
地元の不動産業者さんに紹介されて見に行った当時は室内は荷物に溢れていて見えない部分が多くあり、一般販売は難しいと仲介担当は判断して買い取りで紹介をしていただいたのだと思います。
買い取りの場合、全面リフォームする予定だとそこまで細かく見ないこともあります。
退去後に荷物がなくなって初めて気づいたのですが、キッチンカウンターの部分がボソボソになっていてシロアリに食べられていたのです。
原因を調べると、お風呂の換気扇が何年も前に壊れていて修理せずにいたため湿気がこもり、床下の一部が土がむき出しになっている部分からシロアリが入ってきたようでした。
結局、計画にはなかった壁も剥がしてやり直す形で工事計画を変更しました。
この経験以来、私はマンションでもシロアリのリスクに注意するようになりました。
この取引では、仲介業者が契約不適合責任の免責条項(当時は瑕疵担保責任と呼ばれていました)を契約書に入れ忘れていたため、本来であれば前所有者に費用を請求できましたが、今後の取引関係も考慮して自社で負担することにしました。
もし契約書通りに責任を追及していたら、売主が修理費用を負担することになります。
でもその場合、修理範囲などでもめることになったかもしれません。
話しを戻しますが
備は消耗品ですが、故障している部分に気づかずに「問題なく使える」と引き渡した後で不具合が発覚すると、売主に保証責任が生じます。
実際に、引き渡し直前まで正常に機能していた給湯器が、引き渡し後すぐに故障し、修理に5万円ほどの費用が発生したケースもあります。
故障している部分は事前に申告しておけば、その部分については保証責任を負わなくて済むので、査定時にはこうした点も丁寧にヒアリングします。
5. バルコニーの眺望・方角・圧迫感
眺望や騒音源の確認も重要です。
特に隣接する建物からの音や、線路が近ければ電車の音なども気になります。
6. 上下階の音問題のヒアリング
生活音に関するクレームがあるかどうかも確認します。
7. リフォーム履歴や可能性
築年数が経っている物件は、リフォームの有無で同じマンション内でも全く別物になります。
共用部・管理チェックポイント
1. エントランスや廊下の清掃状況
管理が行き届いているか確認します。
管理人さんの勤務時間や、隣接する住戸がゴミ屋敷のようになっていないかなども見ます。
2. 掲示板の内容
理事会がしっかり機能しているか確認します。
掲示板には、エレベーター内の騒音トラブルや「上から物を投げないでください」といった注意事項が掲示されることがあり、現在問題が起きていないか確認できます。
3. ゴミ置き場の管理
ここで住民のマナーも見えます。
ゴミの収集日ではないのにゴミが置いてあったりすると、管理状態に問題があるかもしれません。
4. 隣地の建物や嫌悪施設の有無
近くに工場など、音が出るものや匂いが気になる施設がないか確認します。
実際に行ってみないとわからないことが多いです。
設備表と告知書の重要性
訪問査定の際には「設備表」と「告知書」を用いて詳細なヒアリングを行います。
「物件状況確認書」とも呼ばれる告知書は、売主が買主に対して物件の状態を説明するための重要な書類です。
具体的には、雨漏りなどの物理的な問題点や、過去の事件・事故などの心理的要因など、物件の状態に関する情報を詳細に記載します。
これらの書類は記入に手間がかかりますが、弊社では査定時に記入していただき、購入検討者が現れた時点でその内容をそのまま説明し、売買契約書にも添付します。
これは後々「説明した・しなかった」というトラブルを未然に防ぐために非常に重要なプロセスです。
まとめ:訪問査定はあなたを守るためのプロセス
このように、私たちは単に「広さ」と「築年数」だけで価格を算出しているわけではありません。
詳細なチェックを行う理由は明確です。
- 物件の良い点を最大限アピールして売却価格の向上を図る
- 潜在的な問題点を事前に把握して適切な対策を講じる
- 将来的なトラブルから売主様を守る
つまり、「高く売れる」と「安心して売れる」の両方を実現するためなのです。
室内が清潔で設備も新しければ、販売資料にセールスポイントとして記載でき、魅力的な写真撮影も可能になります。これらは価値向上に直結します。
一方、問題点がある場合は、周辺類似物件との比較を行い「この条件では厳しい」と判断した場合には、根拠を示した上で適正価格の再検討をご提案することもあります。
特に設備の故障などのマイナス要素は、購入検討者にも事前に説明する必要があるため、査定段階で全て洗い出しておくことが重要です。
設備表と告知書の作成は手間のかかる作業ですが、これらはあなたを守るための重要な書類です。弊社ではこれらの書類作成もしっかりサポートし、将来のトラブル防止に努めています。
マンション査定に限らず、土地や一戸建てであっても、現地調査における経験は非常に重要です。「ここは必ず確認すべきポイント」を見抜く力は、長年の経験によって培われるものです。
査定依頼の際は、できるだけ経験豊富な不動産担当者に依頼されることをお勧めします。事前の詳細なチェックにより、売却後に「知らなかった」では済まされない重大なトラブルを未然に防ぐことができます。
稲沢市、一宮市にお住まいの方は、ぜひ稲沢あんしん不動産にご相談ください。あなたの大切な資産を、最適な形で次のステージへとつなげるお手伝いをいたします。