【2025年最新】相続した空き家の3000万円控除を徹底解説!知らないと損する税金対策
こんにちは、稲沢あんしん不動産の佐藤です。
「相続した実家をどうしよう…」
「空き家のままで放置していいの?」
「いつかは処分しないといけないけど、税金がどれくらいかかるの?」
このようなお悩みをお持ちの方、特に50代~60代で親の家を相続された方からのご相談が増えています。
実は、相続した空き家を売却する際に使える3000万円特別控除という制度があるのをご存知でしょうか?
この制度を利用すると、最大で600万円以上もの税金が節約できる可能性があります。
今回は、この「相続空き家の3000万円特別控除」について、2025年の最新情報を含めて詳しく解説します。空き家対策でお悩みの方はぜひ最後までお読みください。

相続空き家の3000万円特別控除とは?

「相続空き家の3000万円特別控除」とは、
亡くなった方の自宅とその敷地を相続し、
一定の条件を満たして売却した場合に、
譲渡所得から最大3000万円を控除できる特例です。

譲渡所得とは、簡単に言えば「売却によって得た利益」のことです。計算式でいうと:
譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)
- 売却価格:実際に売れた金額
- 取得費:買ったときの金額(相続の場合は被相続人の取得金額)
- 譲渡費用:仲介手数料や測量費用など売るために使った費用
この譲渡所得に対して約20%(実際の長期譲渡所得の税率は20.315%ですが、今回は分かりやすく20%で解説しています)の税金がかかりますが、この特例を使えば最大3000万円分が控除されるので、大きな節税になるんです。
なぜこの制度が作られたの?
この制度が作られた理由には3つの背景があります:
背景 | 内容 |
---|---|
空き家問題の深刻化 | 年々増加する空き家が社会問題となっています |
老朽化した空き家の危険性 | 防犯上の問題や火災のリスク、地域の景観悪化などの懸念があります |
早期解決の必要性 | 相続から3年以内という期限を設け、放置せずに早期対応を促しています |
令和6年(2024年)からの改正ポイント

昨年からの改正で、この特例はさらに使いやすくなりました。
改正前 | 改正後 |
---|---|
相続人自身が建物を取り壊して 更地にした場合のみ特例が使えた | 以下の場合も特例が適用できるようになった・買主が建物を取り壊す場合 ・買主が耐震改修工事を行う場合 |
この改正により、売主の負担が大幅に減り、売却の選択肢が広がりました。実際に私が担当したお客様の中には、「解体費用の準備ができなくて悩んでいたけれど、この改正で買い手がつき、税金も抑えられた」というケースもありました。
改正で変更された控除額について
令和6年1月1日以降の譲渡分からは、相続人の人数に応じて控除額が変わりました。
相続人の人数 | 控除額 |
---|---|
1人の場合 | 3,000万円(変更なし) |
2人の場合 | 3,000万円×2人=6,000万円 |
3人以上の場合 | 2,000万円×人数(例:3人なら6000万円) |
これは当然ですが、相続人全員で対象不動産を売却した場合の合計控除額です。一人だけ売却する場合は他の相続人の分は適用されません。
タイムリミット・特例を受けるための5つの条件

この特例を受けるためには、以下の5つの条件をすべて満たす必要があります:
条件 | 内容 |
---|---|
1. 被相続人の居住用家屋 | 被相続人(亡くなった方)が亡くなる直前まで住んでいた家屋であること 昭和56年5月31日以前に建築された家屋が対象 |
2. 期限内の売却 | 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること |
3. 売却価格の制限 | 売却価格が1億円以下であること |
4. 不使用要件 | 相続してから売却するまでの間、事業用・貸付用・居住用として使用していないこと |
5. 区分所有建物除外 | マンションなどの区分所有建物は対象外 |
老人ホーム等に入居していた場合の特例適用

被相続人が老人ホームなどの施設に入居していた場合でも、以下の条件を満たせば特例の対象となります:
- 被相続人が介護保険法に規定する要介護認定または要支援認定を受けていたこと
- 相続の開始の直前まで老人ホーム等に入所していたこと
- 入所してから相続開始まで、その家屋が事業用・貸付用・他者の居住用に供されていなかったこと
節税効果の具体例

具体的な数字で見てみましょう。例えば、次のようなケースを考えてみます:
相続した実家の売却例
- 売却価格:5,000万円
- 取得費・譲渡費用:1,000万円
- 譲渡所得:4,000万円
区分 | 特例なしの場合 | 特例ありの場合 | 差額(節税効果) |
---|---|---|---|
課税対象額 | 4,000万円 | 1,000万円 (4,000万円-3,000万円) | 3,000万円 |
税金(約20%) | 800万円 | 200万円 | 600万円 |
このように、多くの場合で数百万円の税金が節約できる可能性があります。特に譲渡所得が大きい場合は、効果も大きくなります。
令和6年改正で可能になったケース
改正により、次のような売却方法も特例の対象となりました:
ケース | 流れ | 条件 |
---|---|---|
買主が取り壊す場合 | 相続した古い家屋 → そのまま買主に売却 → 買主が取り壊し | 翌年2月15日までに取り壊し完了し証明書を取得することが条件 |
買主が耐震改修する場合 | 相続した古い家屋 → そのまま買主に売却 → 買主が耐震改修 | 翌年2月15日までに工事完了・耐震証明取得が条件 |
私の経験では、特に解体費用を出せない相続人の方にとって、この改正は大きな助けとなっています。以前なら「解体費用が出せないから売れない」というケースでも、今なら売却できる可能性が高まりました。
売買契約時の重要な注意点・契約書の特約例
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買主が取り壊しや耐震改修工事を行う場合、
売買契約書に特約を設けることが非常に重要です。
特約の参考例です。
【特約例1】買主が建物を取り壊す場合
第○条(空き家に係る譲渡所得の特別控除の特約)
- 売主および買主は、本件土地・建物について租税特別措置法第35条第3項「空き家の譲渡所得の3000万円特別控除」の特例の適用を受けることを前提とし、本契約の売買価額・諸条件を決定したことを確認する。
- 買主は、本件建物の所有権移転後、令和○年○月○日(※譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの日付)までに建物の取壊し工事を完了させるものとする。
- 買主は、前項に定める期日までに建物の取壊し工事が完了したことを証する書類(解体工事の請負契約書および解体工事完了証明書等)を売主に交付するものとする。
- 買主の責めに帰すべき事由により第2項に定める期日までに建物の取壊し工事が完了しない場合、売主は租税特別措置法第35条第3項の特例の適用が受けられなくなることにより被った損害(通常得られたであろう税額控除相当額)について買主に対して損害賠償を請求することができるものとする。ただし、買主の責めに帰することができない事由による場合はこの限りではない。
【特約例2】買主が耐震改修工事を行う場合
第○条(空き家に係る譲渡所得の特別控除の特約)
- 売主および買主は、本件土地・建物について租税特別措置法第35条第3項「空き家の譲渡所得の3000万円特別控除」の特例の適用を受けることを前提とし、本契約の売買価額・諸条件を決定したことを確認する。
- 買主は、本件建物の所有権移転後、令和○年○月○日(※譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの日付)までに耐震改修工事を完了させ、当該建物が耐震基準に適合することの証明を取得するものとする。
- 買主は、前項に定める期日までに耐震基準適合証明書または住宅性能評価書等の写しを売主に交付するものとする。
- 買主の責めに帰すべき事由により第2項に定める期日までに耐震改修工事が完了しない場合、または耐震基準に適合することの証明が取得できない場合、売主は租税特別措置法第35条第3項の特例の適用が受けられなくなることにより被った損害(通常得られたであろう税額控除相当額)について買主に対して損害賠償を請求することができるものとする。ただし、買主の責めに帰することができない事由による場合はこの限りではない。
【追加条項】確定申告のための協力義務
第○条(確定申告に関する協力)
- 買主は、売主が租税特別措置法第35条第3項の特例の適用を受けるために必要な書類の取得に協力するものとする。
- 売主は、本件建物の取壊し工事または耐震改修工事の進捗状況について、必要に応じて買主に確認することができるものとし、買主はこれに誠実に回答するものとする。
これらの特約は一例です。実際の契約においては、不動産取引の専門家(宅地建物取引士、弁護士等)に相談のうえ、適切な内容を検討してください。特に工事完了期限は、確定申告の期限(譲渡の日の属する年の翌年3月15日)より前に十分な余裕を持って設定することが重要です。

実際に私がお客様に提案するときは、必ずこの特約について詳しく説明し、書面化しています。これがないと、「買主が約束を守らず特例が使えなくなった」という数百万円規模のトラブルになりかねません。
実際に必要な手続きと書類


この特例を受けるためには、確定申告時に以下の書類の提出が必要です:
必要書類 | 説明 |
---|---|
譲渡所得の内訳書・確定申告書兼計算明細書 | 土地・建物用のもの |
譲渡資産の登記事項証明書等 | 物件の登記に関する証明書 |
被相続人居住用家屋等確認書 | 譲渡資産の所在地を管轄する市区町村長から交付を受けたもの |
耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し | 耐震改修工事をした場合のみ必要 |
売買契約書の写し | 譲渡金額1億円以下であることを示すもの |
適用対象となる3つのケース比較


特例の適用対象となる売却方法を比較してみましょう。
売却方法 | メリット | デメリット | 注意点 |
---|---|---|---|
相続人が解体して更地で売却 | ・確実に特例が適用される ・買主を選ばない | ・解体費用が必要 ・資金力が必要 | 解体業者の選定に注意 |
買主が解体する条件で売却 | ・解体費用不要 ・相続人の負担減 | ・買主が限定される ・特約の作成が必要 | 期限内に解体が完了するか確認が必要 |
買主が耐震改修する条件で売却 | ・解体不要 ・古家を活かせる | ・買主が限定される ・特約の作成が必要 | 耐震証明が間に合うか確認が必要 |
将来の用途が未定の場合は早めの売却を推奨


将来、使う予定がないのであれば以下の理由から早めの売却をおすすめしています。
- 期限がある:相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。
- 空き家の管理コスト:空き家を保有し続けると、固定資産税や管理費などの費用がかかります。
- 建物の劣化:時間が経つほど建物は劣化し、売却価格が下がる可能性があります。
- 相続人間のトラブル防止:早めに売却して現金化することで、相続人間のトラブルを防げます。
確実な特例適用:条件を満たしていることを確認しながら計画的に売却できます。
具体的な相談事例


実際にあった相談事例をご紹介します。
Aさん(65歳)は、3年前に父親が亡くなり、稲沢市内の実家を相続しました。自分は名古屋市内の自宅に住んでいるため、実家は空き家のままでした。
「このまま放置していても固定資産税がかかるし、草刈りなどの管理も大変。でも解体して売るとなると、費用も税金も心配…」
こういったご相談を受け、相続空き家の3000万円特別控除の制度を説明しました。Aさんのケースでは:
- 築50年の木造住宅
- 土地は約100坪
- 相続から約3年が経過しようとしていた(期限ギリギリ)
買主が取り壊すことを条件に売り出したところ、約3カ月で買い手が見つかり、特約付きの契約を締結。結果的に:
- 譲渡所得約2,500万円に対して
- 3000万円控除を適用できたため
- 税金がゼロに
Aさんは「放置していたら税金も固定資産税も払い続けていたと思うと、相談して本当に良かった」と喜んでいました。



放置していたら税金も固定資産税も払い続けていたと思うと、相談して本当に良かったです
共有物件の場合の注意点


複数の相続人で共有している場合、特に注意が必要です:
共有状況 | 特例適用 | 注意点 |
---|---|---|
土地と建物の両方を共有 | 各相続人が3000万円控除を受けられる | 相続人の人数により控除額が変わる |
土地のみを共有 | 建物を相続していないため特例は適用されない | 特例を受けるには建物も相続する必要がある |
建物が複数ある | 生活の本拠だった「母屋」が対象 | 離れなどと分けて計算する必要がある |
どこに相談すればいいの?


相続した空き家について悩んでいる方は、まずは不動産の専門家に相談することをおすすめします。特に以下のような方は早めの相談が効果的です:
- 相続してから時間が経っている方(3年の期限があります)
- 空き家の維持管理に困っている方
- 税金のことがよくわからない方
- 実家を相続したけれど住む予定がない方
弊社「稲沢あんしん不動産」では、相続不動産の専門家として、これまで多くの空き家問題を解決してきました。特に稲沢市周辺では地域に密着した情報と経験があります。
相続不動産の売却は、通常の不動産売却とは異なる知識や手続きが必要です。特にこの3000万円控除の特例を適用するためには、専門知識が欠かせません。
よくある質問(Q&A)


Q1: マンションや区分所有建物も対象になりますか?
A: いいえ、区分所有建物(マンションなど)は対象外です。一戸建て住宅が対象となります。
Q2: 複数の相続人で共有している場合はどうなりますか?
A: 空き家と敷地の両方を共有で相続している場合、各相続人がそれぞれ特別控除を受けられます。ただし、土地だけを共有で相続した場合は適用されません。
Q3: 相続から3年以上経過していますが、まだ売却していません。特例は使えますか?
A: 残念ながら、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があるため、その期限を過ぎると特例は使えません。
Q4: 相続した空き家をしばらく自分が住んでいましたが、特例は使えますか?
A: いいえ、相続してから売却までの間、事業用・貸付用・居住用として使用していないことが条件なので、特例は使えません。
Q5: 複数の実家を相続しました。すべてに特例が使えますか?
A: いいえ、被相続人が生活の本拠としていた1つの建物とその敷地のみが対象です。
Q6: 令和6年1月1日より前に売却済みですが、新しい制度は適用されますか?
A: いいえ、改正後の制度は令和6年1月1日以後の譲渡に適用されます。
Q7: 買主が工事を期限内に完了できなかった場合、特例は使えなくなりますか?
A: はい、買主が翌年2月15日までに工事を完了できなかった場合、特例は使えなくなります。売買契約書に特約を設けて対応策を決めておくことをお勧めします。
Q8: この特例を使うためには、どこに相談すればよいですか?
A: 相続不動産の専門家、相続不動産の税理士に相談することをお勧めします。
まとめ:3000万円控除を活用するポイント


ポイント | 内容 |
---|---|
期限を確認する | 相続から3年以内という期限があります |
条件を確認する | 5つの条件をすべて満たす必要があります |
契約書の特約に注意 | 買主が工事する場合は特約が重要です |
専門家に相談する | 税金や法律の専門知識が必要です |
空き家問題は放置するほど選択肢が減り、コストがかかります。早めの対応が何より大切です。
相続した空き家の活用は、税制面でも大きなメリットがあります。特に令和6年1月1日からの改正で、より柔軟に特例が使えるようになりました。
ぜひ早めに専門家に相談しながら、最適な選択をしていただければと思います。
何かご不明な点があれば、いつでもご質問ください。
▼公式サイト・無料相談はこちら https://inazawa.estate/
【保有資格】不動産コンサルティングマスター相続対策専門士/宅地建物取引士/マンション管理士/FP2級
【得意分野】不動産売却、相続、空き家対策、住宅ローン など