相続した土地、売却査定の前に必ず見る3つの数字|不動産屋に行く前の自衛策

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佐藤高樹

執筆者:佐藤高樹(稲沢あんしん不動産 代表)
宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)/業界28年・査定実績5,000件超
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相続したご実家の土地を売ろうと思ったとき、最初にぶつかるのが「で、いくらで売れるの?」という壁です。

ネットで調べても数字がバラバラで、どれが本当の相場か分からない。そのまま不動産会社に査定を頼んでも、出てきた金額が高いのか安いのか、判断する物差しが自分の手元にない。これでは業者の言い値をそのまま受け取るしかなくなってしまいます。

実は、査定を頼む前に、ご自身で土地の相場をざっくり掴む方法があります。見るのは3つの数字だけ。しかも公的なサイトとポータルサイトを合わせて2つ見れば足ります。

私は稲沢で不動産の仕事を続けてきて、相続した土地の査定相談をたくさん受けてきました。そのなかで「この3つを先に見ておいてくれたら、話がぐっとスムーズになるのに」と感じる場面が何度もありました。今日はその自衛策を、稲沢駅前を例にお伝えします。

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査定前に見る3つの数字と、坪単価への直し方

見る数字は3つです。

ひとつめが「公示地価・地価調査」。国や都道府県が毎年発表している、公的な土地の値段です。ふたつめが「成約価格・取引価格」。実際に売り買いされた金額のこと。みっつめが「売出中の価格」で、今まさに売りに出されている金額です。

ひとつめとふたつめは、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」というサイトひとつで両方見られます。みっつめだけ、アットホームのような不動産ポータルサイトで確認します。サイトは2つだけ、と覚えてください。

平米単価は3.3を掛けて坪単価に直す

その前にひとつだけ前提を。不動産の世界では「坪いくら」で話すのがもう当たり前で、ご近所さんも不動産屋も「この辺は坪いくらだよ」という言い方をします。

1坪はだいたい3.3平米。畳でいうと2畳分くらいです。1坪のほうが1平米より広いので、同じ場所でも坪単価のほうが大きな数字になります。

換算は、平米単価に3.3を掛けるだけ。1平米あたり5万円の土地なら、5万円×3.3で1坪あたり約16万5千円です。サイトで平米単価しか出てこなかったら、3.3を掛けて坪に直す。これだけ覚えておけば、地元の感覚と数字がぴったり噛み合うようになります。

不動産情報ライブラリで「公的な値段」と「実際に売れた金額」を見る

まずは国土交通省の「不動産情報ライブラリ」。検索窓に同じ名前を入れれば出てきます。

サイトに入ったら「地図表示」をクリックして、調べたい場所まで地図を動かします。ここでは稲沢駅前を例にします。画面の「価格情報」というメニューを開くと、4つの項目が出てきます。「国土交通省地価公示」「都道府県地価調査」「不動産取引価格情報」「成約価格情報」の4つです。

公示地価・地価調査は、信頼性の高い公的な目安

公示地価と地価調査は、国や都道府県が毎年決まった地点の土地の値段を発表しているものです。

公示地価は国が毎年3月下旬に発表し、価格の時点は1月1日。地価調査は都道府県が毎年9月に発表し、時点は7月1日です。どちらも公的な数字で、相続税の計算で使う「路線価」は、この公示地価のおおむね8割を目安に決められています。土地の値段の物差しとしては、もっとも信頼の置ける数字です。

ただ、注意点がひとつ。この数字は「標準地」という行政が選んだ代表地点の値段で、稲沢市内でも数十地点しかありません。ご自身の土地のドンピシャの場所にあるとは限らないので、近くの標準地を見て「このエリアの目安」として参考にする、という使い方になります。

実際に稲沢駅前の標準地をクリックすると「稲沢5-3、161,000円/㎡」と出ます。坪に直すと約53万円。ただこの地点は稲沢駅から170mほどの駅近で、市内でも2番目に高い場所です。駅前エリア全体の平均ではなく、条件のいい場所の数字として読んでください。駅から離れれば坪単価はぐっと下がります。

取引価格・成約価格で「生きた相場」を見る

次に「不動産取引価格情報」と「成約価格情報」。これが実際に売買された金額です。

取引価格情報は、売買が成立したあとに国土交通省が買主にアンケートを取って集めた価格で、2005年以降のデータが見られます。成約価格情報は、私たち不動産屋が使うレインズという業者間のデータベースから、個人情報を伏せて公開しているもので、2021年以降が対象です。

違いが分かりにくいかもしれませんが、ざっくり言えばどちらも「実際に売れた金額」。出どころが違うだけと思っていただいて大丈夫です。

地図上では点で表示され、クリックすると、いつ・どのくらいの広さの土地が・いくらで売れたかが分かります。これも坪単価に直して、ご自身の土地に近い場所で2〜3件見ていくと、生きた相場の感覚が掴めてきます。

なお、似た名前の「レインズマーケットインフォメーション」というサイトもありますが、こちらは戸建てとマンションだけで土地は載っていません。土地の場合は不動産情報ライブラリで見るのが確実です。

アットホームで「今のライバル価格」を見る

3つめは、アットホームで現在の売出価格を見ます。

「アットホーム 稲沢市 土地」で検索すると、今、市内で売りに出されている土地の一覧が出ます。ご自身の土地と近いエリア・近い広さのものがいくらで出ているか、2〜3件チェックしてみてください。

ここで気をつけたいのが、表示されているのは「売出価格」であって「売れた金額」ではないこと。売出価格は売主の希望価格なので、成約のときはここから値引きが入ることが多いんです。長く売れ残っている物件は、その価格だから売れていない場合もあります。数字を鵜呑みにはしないでください。

それでも見る理由は、これがご自身の土地の「ライバル」になるからです。土地を売り出したとき、買い手は同じエリアの他の売り出し中の土地と見比べます。周辺がいくらで出ているかは、売り出し価格を決めるうえで欠かせない情報です。

3つの数字を持って査定に行くと、何が変わるか

ここまでで、公的な目安・実際に売れた金額・今のライバル価格の3つが揃いました。この状態で査定相談に行くと、立場がまるで変わります。

提示された査定額が3つの数字から大きく外れていたら、理由を聞いてみてください。「なぜこの相場より高いんですか」「なぜ安いんですか」と。誠実な会社なら、土地の形や接道、需要の違いなど、根拠をきちんと説明します。逆に「相場ですから」とはぐらかすだけの相手は、少し慎重に見たほうがいいかもしれません。

とくに気をつけたいのが、極端に高い査定額です。高い金額で専任の媒介契約を取ったあと、しばらくして「反響がないので値下げを」と言ってくる、という流れも実際にあります。高い査定額が、そのまま高く売れることを意味するわけではありません。

安すぎる場合も同じで、その土地に売りにくい事情があるなら、それを率直に話してくれる会社のほうが、結果的に高く・気持ちよく売れることが多いと感じています。

3つの数字を手元に持っておく。たったこれだけで、言われるままに進めてしまうリスクをかなり減らせます。査定そのものの流れや進め方が気になる方は、不動産会社に査定を依頼するときの基本的な進め方もあわせて読んでみてください。

よくある質問

Q. 相続した土地の相場を、自分だけで完璧に出せますか? A. 完璧な金額までは難しいです。土地は形・接道・前面道路の幅などで価格が変わるので、最終的にはプロの査定が必要になります。今回の3つの数字は「査定額が妥当かを自分で判断するための物差し」と考えてください。

Q. 3つの数字がバラバラだったら、どれを信じればいいですか? A. それぞれ役割が違うので、3つを「幅」として捉えるのが自然です。公示地価で公的な目安、成約価格で実際に売れた水準、売出価格で今のライバル感を見る。その幅の中で査定額が説明できるかどうかを見ます。

Q. 不動産情報ライブラリに、自分の土地のすぐ近くのデータがありません。 A. 標準地も取引データも、すべての場所を網羅しているわけではありません。少し範囲を広げて、似た条件のエリアを2〜3件見てみてください。それでも掴みづらいときは、無理に自分で結論を出さず、地元の事情を知る会社に相場感から聞いてみるのもひとつの手です。

Q. 相続した土地でも、この調べ方は同じで大丈夫ですか? A. 相場の調べ方そのものは同じです。ただ相続の場合は、名義の整理や相続人同士の話し合いが先に必要になることもあります。売却の段取り全体は相続した不動産を売るまでの流れで整理しているので、参考にしてください。

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ここまで読んで「うちの場合はどうなんだろう」と感じた方は、
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