【売る前に必見】空き家が売れない5つの原因|知らないと損します
これから空き家を売ろうとしている方、ちょっと待ってください。
準備を間違えると6ヶ月経っても売れない…そんな状況に陥ることもあります。
こんにちは、稲沢あんしん不動産の佐藤です。
今回は「空き家が売れない5つの原因」についてお話しします。
これから空き家を売ろうと考えている方にこそ、知っていただきたい内容です。
こんなお悩み、ありませんか?

空き家を売ろうと思って不動産会社に頼んだのに、全然反応がない。
問い合わせも来ないし、報告も来ない。
たまに連絡が来たと思ったら値下げの話ばかり…。
こういう状況になると、正直しんどいですよね。
「うちの家はもう売れないんじゃないか」と不安になるのも無理はありません。
でも、こうなってしまう原因は実は決まっているんです。
売れないのは「家」のせいではありません

空き家が売れないのは、家そのもののせいじゃないことがほとんどです。
問題は「売り方」と「準備」の進め方に隠されています。
今回ご紹介する5つの原因を事前に知っておいて、1つずつ潰していけば「売れない」という状況を未然に防ぐことができます。
私が28年の不動産業界で実際に見てきた経験をもとに、それぞれの解決策もセットでお伝えしますね。

原因1:売り方の「前提」がズレている

これは売り出す前の段階で一番大事なことです。
家を売るとなると「建物付きで売るのが当たり前」と思いますよね。
実際、多くの方がそう考えられます。
ただ、その常識がかえってご自身の選択肢を狭めているケースもあるんです。
例えば、建物の修繕にかかるお金が現実的ではないほどかかる場合、実は「土地」として売った方が需要があることもあります。
「建物として売るのか」「土地として売るのか」
この前提条件を最初に整理することが大事なんです。
解決策:まず「建物」か「土地」か戦略を決める

売り出す前に、どちらの需要が高いかを冷静に判断することが最初のステップです。
ここを決めないまま、あるいは間違ったまま進めてしまうと、いつまでもターゲットに響かない状況が続いてしまいます。
リフォームで価値が上がる見込みがあるなら「建物として売る」、修繕費が現実的ではないなら「土地として売る」という判断が必要です。
空き家を放置すると固定資産税が6倍に!専門家が教える「特定空き家」と「管理不全空き家」の現実の記事でもお伝えしていますが、空き家は放置すればするほど状況が悪化します。
だからこそ、最初の方向性を間違えないことが重要なんですね。
原因2:建物の状態が「わからない」

買い手が一番嫌がるのは、実は「古さ」そのものじゃないんです。
本当の原因は「どこが壊れているか分からない」ことなんですね。
特に1年以上空き家だった物件は、こんな疑問が買い手の頭をよぎります。
「雨漏りはあるのかな?」
「シロアリは大丈夫?」
「配管の状況はどうなっているんだろう?」
こういったことが不明だと、購入後の修繕費がいくらかかるか検討がつかない。
その不安で買い手は手を出せなくなるんです。
法的リスクも知っておいてください
もし売却後に雨漏りやシロアリといった重大な欠陥が見つかった場合、「契約不適合責任」といって損害賠償を求められるケースもあります。
この契約不適合責任は2020年の民法改正で新しくできた制度で、以前より売主の責任が厳しくなっているんですね。
事前に状態を把握しておくことは、買い手のためだけじゃなくて、実はご自身を守ることにも直結します。
解決策:事前調査で不安を「見える化」する

売る前に「分からない」という部分を減らすことが大切です。
例えば、給湯器やガスコンロなどガス機器がある家でしたら、実際にガスを通して動くかどうかテストして確認する。
それから建物については「インスペクション」というものがあります。
インスペクションとは建物状況調査のことです。
建築士が実際に屋根を見たり、床下に潜って建物の状態を確認してくれるサービスなんですね。
建物調査報告書という書面をもらえます。
費用は7万円から10万円くらいかかりますが、安心感と売りやすさへの効果が大きいです。
専門家に見てもらえれば、もし不具合があったとしても「ここにこういう不具合があります」と具体的に説明ができるようになります。
買う人からすると「よくわからない」というのが一番困るんです。
不具合があってもそれがはっきり分かっていれば、購入の検討がしやすいんですね。
だから事前に状態を見える化しておくことで、買い手の安心感が全く変わってくるんです。
「インスペクションが分かったけど、どこに頼めばいいの?」「専門的な報告書を出されても自分で理解できるかな…」といった不安がありますよね。
弊社ではそういった業者の紹介や報告書の内容を一緒に確認するところまでサポートしています。
分からないことがあれば遠慮なく聞いていただければと思います。
原因3:権利関係・敷地条件が未整理

これは何のことかと言うと、土地の境界のことです。
境界がはっきりしていなかったり、隣の配管(排水管・給水管・ガス管など)が自分の敷地を通っていたり、あるいはその逆で他人の敷地を借りていたり…。
こういった問題って、住んでいる人は気がつかないんですよね。
「うちは何も問題ないだろう」と思っていても、いざ売却となるとここが未整理だと買い手は躊躇します。
特に境界の問題は放置しておくと、隣との関係がこじれて余計に解決が難しくなることもあります。
解決策:境界標の確認・配管調査を事前に

対策としては、売却の前に不安要素を全部洗い出して、境界標の確認や配管状況の調査を進めておくことです。
境界標というのは、敷地に埋め込まれているコンクリートの杭や金属プレートのことです。
これがちゃんとあるかどうか、まずはご自身の目で現地確認をしてみてください。
売り出すタイミングで100%解決できていなくても、「ここはこういう状況で、解決する予定です」と説明できる状態にしておくだけで、買い手も安心して判断ができるようになります。
弊社の場合は売却活動を始める前に、まずこうした権利関係の調査と整理を徹底するようにしています。
これは私の性格もあるんですけど、ここを後回しにすると、いざ買い手が現れた時に話が進まなくなるんですよね。
話が途中で中断してしまったり、ややこしくなってしまいます。
買い手が安心して検討できる状態を整えることが、実はスムーズな売却の近道なんです。
【相続問題解決】築40年の実家相続で発覚!8つの問題と解決までの道のりの記事では、境界や越境の問題も含めた複雑なケースをどう解決したかをご紹介しています。
空き家の売却、何から始めればいいか分からない方へ
ここまで3つの原因をお話ししてきましたが、「自分のケースでは一体どこから手をつけたらいいんだろう」と迷われた方もいらっしゃるかもしれません。
そういう方は、まず状況を整理するところから始めるといいですね。
下記のフォームから今の状況を教えていただければ、一緒に優先順位を整理するお手伝いができます。
「まずは話だけでも聞いてみたい」という方も大歓迎です。
原因4:価格が市場とズレている

ここまで準備ができたら、次は価格ですね。
売り出されている価格が市場の相場とズレているという問題です。
長年住まわれた家、実家を相続された場合はなおさらですが、たくさんの思い出が詰まっていると思います。
「この価値を分かって欲しい」「安く売りたくない」
そう思われるのは当然のことなんです。
ただ、不動産というのは「いくらで売りたいか」ではなくて「いくらなら買ってもらえるか」で動くんです。
高い価格で粘り続けるリスク
ここで気をつけていただきたいのが、高い価格で粘り続けるリスクです。
一般的に不動産の売却には3ヶ月から6ヶ月かかると言われています。
それを大きく超えて6ヶ月、9ヶ月と売れない状態が続くと、市場では「売れ残り」という負の印象がついてしまうんです。
そうなると問い合わせがさらに減って、結果的に大幅な値下げをせざるを得なくなる負のスパイラルに陥っちゃうんですね。
その間も固定資産税や管理の負担が毎年毎月かかり続けますから、高い価格(市場に合っていない価格)で粘ることが実は一番損をする選択になってしまうことがあるんです。
解決策:客観的なデータに基づいて価格を決める

感覚ではなく、実際の成約事例(売れた事例)や反響データを根拠に、市場に合った価格を冷静に設定することです。
この辺りで実際に売れた物件はいくらだったのか。
今、競合する物件は何件あって、いくらで出ているのか。
その物件が今週値下がりしたとか、していないとか。
直近で売れた物件はこういう理由だから成約したんだ、という分析。
こういった客観的なデータを、担当する不動産会社の担当者と一緒にしっかり作戦会議しながら進めないと、ズルズルと時間だけが経ってしまいます。
ちなみに不動産会社だけが見られる不動産のデータベース、通称「レインズ」というものがあって、そこには実際に売れた価格の情報が蓄積されています。
このデータをもとに相場をしっかり説明してくれる不動産会社を選ぶことが大事です。
とはいえ、データだけを並べられても、ご家族との思い出が詰まった家をただの数字として割り切るのは心情的に難しいものですよね。
私もその気持ちよく分かります。
だからこそ、客観的なデータと相談者であるあなたのお気持ち、その両方を大切にしながら、ご家族が納得できる価格設定を一緒に考えていくことが大事だと思っています。
不動産の価格設定や査定の詳しい流れについては、不動産売却査定の流れ|相場・準備・不動産会社選びの記事もご参考ください。
原因5:見せ方・売り方が古い

「ちゃんと不動産会社さんにネットに載せてもらっているはず」
そう思われている方も多いんですが、実はネットに載せているだけでは不十分な時代なんです。
写真を載せるのは最低ライン。
今の買い手さんは動画で雰囲気を見ます。
特にSNSのショート動画です。
今のSNSは賢くて、AIが「この人はこの動画に興味ありそうだ」と自動で判断して、興味がありそうな人にその人に合った動画を表示してくれる仕組みになっているんですね。
だからショート動画って、一度見ると止まらないでしょ?
ずっと見てしまって、あっという間に30分、1時間と溶けてしまいますよね。
このショート動画、若い方だけじゃなくて私50代なんですけど、私の年代でも周りの人はよく見ています。
YouTube も Instagram も TikTok もですね。
解決策:SNS・動画も活用した「全方位戦略」

対策としては、ポータルサイトへの掲載だけじゃなくて、SNSやショート動画を活用して物件の魅力を多角的に伝える「全方位の営業手法」が必要なんです。
もちろん昔ながらのポスティングや看板なども併用します。
一定数ネットを見ない方もいらっしゃいますからね。
弊社ではショート動画を自社で作成してSNSで発信しています。
私自身がこうしてYouTubeも編集していますので、今の時代に合った発信と昔ながらの方法の両方をやることで、幅広い買い手にアプローチするようにしています。
空き家が売れない原因5つのチェックリスト

ここでもう一度整理しますね。
①前提:「建物」or「土地」かを決めたか?
建物で売るか土地で売るか、まずここを決める。
②状態:インスペクションで「見える化」したか?
買い手は不安。建物調査などを使って建物の状態を客観的に見えるようにする。
③権利:境界や配管の状況を整理したか?
境界標の確認や配管調査を事前に行う。
④価格:データに基づいた価格になっているか?
成約事例をもとに、でもあなたの希望もちゃんと優先しながら冷静に設定する。
⑤売り方:時代に合った全方位戦略か?
今はSNSやショート動画を活用した全方位戦略が有効。
この5つ、どれも「家そのものの問題」というよりも「売り方と準備の問題」なんです。
📋 チェックリストをPDFでダウンロード
上記5つのチェックポイントを、印刷して使えるPDF形式でまとめました。
空き家売却の準備にお役立てください。
今が、一番良い状態です

ここで1つ大事なことがあります。
空き家を放置すると、建物は傷み、雑草が伸びて、近隣からの印象もどんどん悪くなっていきます。
つまり時間は味方をしてくれないどころか、むしろ状況を悪化させていくんです。
でも安心してください。
逆に言うと「今が一番良い状態」なんです。
今から問題点を整理して適切に手を打てば、「売れない」という状況を未然に防ぐことができます。
空き家の放置のリスクについては空き家を放置すると固定資産税が6倍に!の記事でも詳しくお話ししていますので、こちらも参考にご覧ください。
よくある質問(FAQ)
空き家の売却についてよくいただくご質問をまとめました。
Q. インスペクション(建物状況調査)の費用はいくらかかりますか?
インスペクションの費用は、建物の規模や内容によって異なりますが、おおよそ7万円〜10万円程度です。
建築士が実際に屋根を見たり、床下に潜って建物の状態を確認し、建物調査報告書という書面で結果をもらえます。
費用はかかりますが、買い手の安心感が格段に上がり、売却後のトラブル防止にもつながるため、費用対効果は高いと言えます。
Q. 境界確定にはどのくらいの期間がかかりますか?
境界確定には、一般的に1ヶ月〜3ヶ月程度かかります。
隣接するすべての土地所有者の立ち会いと同意が必要になるため、関係者のスケジュール調整や、場合によっては交渉に時間がかかることもあります。
境界標が残っていて、隣地との関係も良好であれば比較的スムーズに進みますが、境界標が見つからない場合や隣地の方と連絡がつかない場合は長引くこともあります。
だからこそ、売却活動を始める前に早めに着手することをおすすめしています。
Q. 空き家の売却にはどのくらいの期間がかかりますか?
一般的に不動産の売却には3ヶ月〜6ヶ月かかると言われています。
ただし、これは適正価格で売り出した場合の目安です。
市場価格とかけ離れた価格で売り出すと、9ヶ月、1年と長引くこともありますし、逆に事前準備をしっかり行い、適正価格で売り出せば1〜2ヶ月で成約するケースもあります。
Q. 築年数が古い空き家でも売れますか?
はい、築年数が古くても売れます。
大切なのは「建物として売るか」「土地として売るか」の判断を最初にしっかり行うことです。
築40年、50年の建物でも、立地が良ければ土地としての需要がありますし、リフォーム前提で購入したい方もいらっしゃいます。
「古いから売れない」と決めつけず、まずは専門家に相談することをおすすめします。
Q. 遠方に住んでいて空き家の管理ができないのですが、売却は可能ですか?
はい、遠方にお住まいでも売却は可能です。
実際に弊社でも、福岡から愛知の空き家を売却したお客様の事例があります。
現地の確認や鍵の受け渡し、書類のやり取りなど、遠方ならではの課題はありますが、オンラインでの打ち合わせや電子契約を活用することで、ほとんどの手続きを遠隔で進めることができます。
詳しくは【相続問題解決】築40年の実家相続で発覚!8つの問題と解決までの道のりの記事もご参考ください。
Q. 相続した空き家を売却する場合、税金の特例はありますか?
はい、相続した空き家を売却する場合、条件を満たせば「相続空き家の3,000万円特別控除」が適用される可能性があります。
これは、相続した空き家を売却した際の譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。
ただし、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却するなど、いくつかの要件があります。
詳しくは税理士や不動産会社にご相談ください。
稲沢あんしん不動産の伴走型サポート
稲沢あんしん不動産では、相談者1人1人、一件一件に集中する「伴走型のサポート」を大切にしています。
一般の不動産会社のようにたくさんの不動産を抱えるのではなくて、あなたの不動産のために私のリソースを集中させて、売れる状態に整えるところから一緒にやっていきます。
空き家の売却って、気持ち的にも大変な作業ですよね。
思い出がたくさん詰まっている実家を手放すということは、簡単な決断ではありませんから。
だからこそ私は、不動産を売るだけではなく、そこに付随すること…例えば残された荷物の整理はどうするかとか、建物を解体するならどういう風に進めるかとか、相続の手続きはどうしたら良いかとか…そういったことも含めて包括的にサポートをしています。
今年中に状況を整理したいという方、来年こそはすっきりしたいと考えている方、よかったらご相談ください。
不動産売却の流れが気になる方は初めての不動産売却7ステップ|失敗しない流れと注意点を徹底解説もご覧ください。
まとめ:空き家売却を成功させる5つの準備
今回、空き家が売れない5つの原因とその解決策についてお話ししてきました。
1つ目は「売り方の前提がズレている」。建物で売るか土地で売るか、まずここを決める。
2つ目は「建物の状態が分からない、買い手は不安」。インスペクション(建物調査)などを使って建物の状態を客観的に見えるようにする。
3つ目は「権利関係や敷地条件が未整理」。境界標の確認や配管調査を事前に行う。
4つ目は「価格が市場とズレている」。成約事例をもとに、でもあなたの希望もちゃんと優先しながら冷静に設定する。
5つ目は「見せ方・売り方が時代に合っていない」。今はSNSやショート動画を活用した全方位戦略が有効。
この5つ、どれも家そのものの問題というよりも「売り方と準備の問題」です。
「何から手をつけたらいいか分からない」という方は、まずは状況を整理するところから始めましょう。
28年の経験を活かして、あなたの空き家売却を全力でサポートいたします。
今回の記事が参考になったと思っていただけましたら、ぜひ他の記事もご覧ください。

