【愛知の中古戸建て売却】607万円の差?最新相場から読み解く

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佐藤高樹

執筆者:佐藤高樹(稲沢あんしん不動産 代表)
宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)/業界28年・査定実績5,000件超
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稲沢あんしん不動産の佐藤です。今日は愛知県の中古戸建て市場が、いま実際どうなっているのかをお話しします。

先にひとつだけ、頭に入れておいてほしい数字があります。607万円。これは売り手が「この値段で売りたい」とつけた価格と、実際に売れた価格の差です。なかなかの開きでしょう。なぜこんな差が生まれているのか、データを見ながらほどいていきます。

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売り出し価格と成約価格に「607万円」の開き

中古戸建ての売り出し価格と成約価格の差を示す図解

数字の出どころから話させてください。今日使うのは中部レインズ(公益社団法人 中部圏不動産流通機構)のデータです。国土交通大臣の指定を受けた、不動産業者だけが見られる取引情報のネットワークで、実際に売買が成立した価格がここに集まります。

SUUMOやアットホームに並んでいるのは、あくまで売り手の希望価格。レインズに入っているのは「実際にいくらで売れたか」という事実のほうです。ここが大事なところなので、混同しないでください。

2025年10月から12月の最新データで、3つの数字を見ていきます。

ひとつめ、売り出し価格は3,245万円。前年比でプラス0.5%なので、ほぼ横ばいです。売り手のほうは「これくらいで売れるだろう」と思って市場に出してきています。

ふたつめ、成約価格は2,638万円。前年比マイナス8.2%で、3期連続の下落です。前の3か月と比べてもさらにマイナス3.9%。下がるスピードがじわじわ上がっています。

この2つを引き算してみてください。3,245万円から2,638万円を引くと、607万円。売り手が思っている価格と、買い手が実際に払った価格の間に、これだけの溝があるんです。

実は前回の動画で同じ計算を中古マンションでやったんですが、そちらの差は86万円でした。戸建ては607万円。7倍以上です。つまり今の中古戸建て市場では、600万円を超える値引き交渉が当たり前のように起きている、ということになります。

成約件数は増えているのに価格が下がる理由

ここで在庫のほうも見ておきます。いま市場に出ているのに、まだ買い手がついていない物件です。

愛知県の中古戸建ての在庫は1万5,967件。15期連続で増えていて、前年比プラス9.9%。マンションの在庫増加がプラス0.4%だったので、戸建ての増え方はかなり速いです。新しく売りに出される件数もプラス9.5%で増え続けている。出てくる数に、売れていくスピードが追いついていません。

在庫物件の平均価格は3,307万円で、こちらは9期連続で下がっています。売れ残っている物件の売り手が、3,500万円から3,400万円、そして3,300万円台へと、じわじわ値段を下げている。それでも売れずに積み上がっている、という構図です。

ここでよく聞かれるんです。「成約件数は36%も増えてるのに、なんで価格が下がるんですか」と。一見、矛盾しているように見えますよね。

でも矛盾ではないんです。値段を下げた物件だけが売れている、というのが答えです。

成約価格がマイナス8.2%ということは、去年より200万円以上安い値段で取引が成立しているということ。売り手が希望価格をあきらめて、現実的なところまで下げた物件から、順番に買い手がついている。逆に値段を下げなかった物件は、そのまま在庫の山に残り続けます。だから売れた数は増えるのに、平均の成約価格は下がる。市場が元気になったわけではない、ということです。

なぜこれだけ物件が出てくるのか。私のところに来る売却のご相談は、半分以上が相続した空き家なんですよ。親御さんが住んでいた家を相続したけれど、自分はもう別に家がある。使わないまま置いていて、何年か経って「やっぱり売ろうか」となる。こういう家が愛知県だけでなく全国で次々と市場に出てきています。だから在庫が減らないんですね。

いま売る人・買う人がとるべき動き

長年この仕事をしてきた人間として、率直なところをお伝えします。

愛知県の中古戸建ては、マンションより一歩先に進んだ局面にいます。マンションは「上がる力がなくなった」段階でしたが、戸建ては成約価格が3期連続で下がっている。マイナス8.2%は、誤差では片づけられない下がり方です。

売ろうと考えている方へ。 おすすめしたいのは、現実的な価格で早めに売りに出すことです。待つほど競合が増えて、さらに下げないと売れなくなります。

ここで一番やってはいけないのが、ポータルサイトの他の物件の価格に合わせて売り出し価格を決めること。あそこに並んでいるのは売り手の希望価格、つまり「まだ売れていない価格」の集まりです。基準にすべきはレインズの成約データのほう。いまの愛知県の成約平均2,638万円を起点に考えると、現実とのズレが小さくなります。

相続した実家や空き家をお持ちの方は、もうひとつ気にかけてほしいことがあります。空き家は人が住んでいる家より何倍も速く傷みます。雨漏り、カビ、シロアリ。時間が経つほど売却の条件は悪くなる一方です。

買おうと考えている方へ。 選択肢は豊富です。在庫が約1万6,000件あって、売り手も値下げに動いているので、価格交渉の余地はマンション以上にあります。

ただ、「安いから」というだけで飛びつかないでください。成約価格が下がっている背景には、古い物件や条件の厳しい物件が大量に出てきている事情もあります。安く買えても、リフォームに500万円かかったら結局は高くつく。建物の構造、雨漏りの跡、シロアリの被害、リフォーム費用を含めた総額。ここを見極めてから判断したほうがいいです。安い買い物ほど、見る目が要ります。

希望ではなく、事実のデータをもとに決める。これが今の愛知県の中古戸建て市場で、私が一番おすすめしたい考え方です。

よくある質問

Q. 中古戸建てとマンション、相場の動きはどう違いますか。 A. 中古マンションは成約価格が前年比マイナス0.4%で、売り出しとの差は86万円ほどでした。中古戸建ては成約価格マイナス8.2%・差が607万円と、下落も乖離も戸建てのほうが大きく出ています。マンションの動きは中古マンションの市況をまとめた記事で詳しく書いています。

Q. 売り出し価格はどう決めればいいですか。 A. ポータルサイトの掲載価格ではなく、レインズの成約データ(実際に売れた価格)を起点にするのがおすすめです。いまの愛知県の成約平均は2,638万円。ここからご自身の物件の築年数や立地で調整していくと、現実とのズレが小さくなります。

Q. 相続した空き家は急いで売ったほうがいいですか。 A. 空き家は人が住んでいる家より傷みが速く、時間が経つほど条件が悪くなりがちです。在庫も増え続けているので、現実的な価格で早めに動くほうが選択肢を残せます。売却の進め方は初めての不動産売却の流れも参考にしてみてください。

Q. 価格交渉はどのくらい入りますか。 A. ケースによりますが、いまの戸建て市場は売り出しと成約の差が607万円という状況です。条件によっては大きめの交渉が入ることも珍しくありません。逆に言えば、最初から現実的な価格にしておくと、長引かずに決まりやすくなります。

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