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不動産「囲い込み」で報酬4倍|2025年宅建業法改正で何が変わる?

「家を売りに出したのに、なかなか売れない」。そう感じたとき、価格や物件のせいだと思い込んでしまう方が多いんです。でも、原因が物件ではなく、間に入っている不動産会社の動き方にあるケースがあります。
それが「囲い込み」と呼ばれるもので、不動産業界では昔から指摘されてきた根深い問題です。2025年1月の宅地建物取引業法の規則改正で、ようやく国も本腰を入れて規制に動き出しました。
私は稲沢で28年、不動産の実務をやってきました。査定はこれまで5,000件を超えます。買取をメインにしていた時期もあって、業界の内側を見てきた立場から、囲い込みの正体と、売主側でできる備えを整理してお話しします。
囲い込みとは|売主が損をする仕組み
囲い込みとは、不動産会社が売却を任された物件の情報を、わざと他社に流さないようにして、自社だけで買主を見つけようとする動きのことです。
なぜそんなことをするのか。売主と買主の両方を自社で担当すれば、両方から仲介手数料をもらえるからです。この両方からもらう形を業界では「両手」と呼びます。片方からだけもらうのが「片手」です。
両手そのものは違法ではありません。問題は、両手を独占したいがために、他社へ物件を紹介させないことなんです。
広く買主を探さなければ、本当はもっと高く買ってくれた人にたどり着けないまま終わってしまう。結果として、相場より安く手放すことになりかねません。これが売主にとっての一番の損です。
囲い込みの手口とサイン|レインズの虚偽登録
囲い込みの中心になるのが「レインズ」というシステムです。レインズは全国の不動産会社が物件情報を共有するための専用ネットワークで、買主を広く探すために使われます。
専任媒介・専属専任媒介で契約した物件は、このレインズへの登録が義務付けられています。ところが、その登録をわざと遅らせたり、図面や所在地の情報を不完全なまま載せたりして、他社が紹介しづらい状態にする手口があります。
「商談中」表示で他社をブロックする
なかでもわかりにくいのが、本当はまだ紹介できる状態なのに、レインズ上で「商談中」「申込あり」と表示してしまうやり方です。
他社が「お客様にご紹介したい」と確認の電話を入れても、「今、話が入っていまして」と断られる。資料を求めても「まだ作成中で」とかわされる。こう言われると、私たち他社の人間はそれ以上動けないんです。
売主から見ると、この水面下の動きは見えません。担当者は熱心に売却活動をしているように見えるので、「問い合わせがゼロ」と言われると、自分の物件が売れないんだと思い込んでしまうんですよね。
売主が値下げに追い込まれていく流れ
そのまま時間が経つと、担当者は「なかなか売れませんね」と言い、月末が近づくと「そろそろ価格を下げませんか」「いっそ買取にしませんか」と切り出してきます。
冷静なときなら絶対に飲まない金額でも、「売れないかもしれない」と弱気になった瞬間、判断が鈍ってしまう。これは人として自然な反応なんです。だからこそ、最初に仕組みを知っておくことに意味があります。
手数料が報酬4倍になるカラクリ
囲い込みは「両手で手数料2倍」と説明されることが多いんですが、現場ではもっと膨らむケースがあります。
私が買取をメインにしていた頃、取引相手の多くは大手の不動産会社さんでした。情報量が桁違いで、月末になると「どうしてこの金額まで下がるんだろう」と思うような物件をまとめて紹介してもらえたんです。
裏側はこういう流れでした。まず売主から専任媒介を取り、自社の取引先である買取業者に安く売る。ここで手数料が一度発生します。
そのとき「リフォームして再販するときも、うちで専任媒介にしてくださいね」と約束を取りつける。買取業者がエンドユーザーに売り直すときに、また手数料が発生する。両手の取引が2回まわれば、片手の取引と比べて手数料は4倍まで膨らみます。
やり手の営業になると、2回転、3回転と転がしていく。もう「両手を取りたい」という次元ではなく、仕入れて再販してを繰り返す一つのビジネスとして成り立ってしまっているんです。だから、なかなか無くなりません。
ただ、念のため付け加えると、安く出てくる物件のすべてが囲い込みというわけではありません。事情があってやむを得ず安くなるものもあります。そこは一概には言えないところです。
2025年宅建業法改正で何が変わったか
2025年1月から、国土交通省によって宅地建物取引業法の施行規則が改正され、囲い込みへの対策が強化されました。
ここで押さえておきたいのは、処分の対象になったのは「囲い込みそのもの」ではない、という点です。囲い込みのためにレインズへ虚偽の登録をしたり、取引状況を偽って操作したりした行為が対象になりました。
具体的には、物件の取引状況(公開中なのか商談中なのか)を正確に登録し、状況が変わったら速やかに更新することが求められます。これに反した業者には、指示処分から業務停止といった行政処分につながる可能性が出てきました。
国がここまで動いたこと自体、問題が深刻だと判断した証だと感じています。透明性が重視される流れになってきたのは、売主にとって良い変化です。
とはいえ、ルールができても現場がすぐに変わるとは限りません。営業の世界は数字に追われています。表示を正しくしても、電話口で「話が入っています」とかわすようなグレーなやり方は、形を変えて残るかもしれません。だから、売主側の備えはこれからも要ります。
売主ができる囲い込み対策
完全に防ぐのは正直むずかしいです。それでも、リスクを下げる手はあります。
まず、媒介契約を結ぶ段階で「囲い込みはしないでください」「買取業者への売却は希望していません」とはっきり伝えること。これだけで、相手の姿勢は変わります。「この売主は知っているな」と伝われば、変なことはしづらくなるんです。
専任・専属専任で契約するなら、レインズの登録証明書を見せてもらってください。証明書が出てこないなら、登録されていないサインかもしれません。あわせて、登録のステータスが「公開中」になっているか、担当者からの報告と食い違っていないかを、ときどき自分で確かめておくと安心です。
それから、自分の物件の相場を大まかに把握しておくこと。大きく値下げを求められたとき、その根拠をきちんと説明できる会社かどうかが見極めのポイントになります。私たちのようなプロは、最初の査定で金額の根拠を説明する責任があります。わかるように説明してくれない会社は、避けておいたほうがいいです。
当社が専任をお預かりするときは、登録状況をそのままお見せして、どこから問い合わせが来たかも包み隠さずお伝えしています。地元で長く商売を続けるうえで、隠して得をすることは何もないと考えているからです。家の売り方そのものを整理したい方は、家を売るときの基本の流れもあわせて読んでみてください。
よくある質問
囲い込みかどうか、売主が自分で見抜けますか?
完全に見抜くのはむずかしいです。ただ、レインズの登録証明書を確認する、ステータスが「公開中」かを見る、報告と実態が合っているかを照らす、この3つでリスクはかなり下げられます。気になる方は媒介契約の種類と選び方も参考にしてください。
一般媒介にすれば囲い込みは防げますか?
複数の会社に依頼できる一般媒介は、1社に情報が偏るリスクを避けやすい契約です。ただ、各社の販売の本気度が分散する面もあって、物件によって向き不向きがあります。一概にどちらが良いとは言えないので、状況に合わせて選ぶのが現実的です。
2025年の改正で囲い込みは無くなりますか?
虚偽のレインズ登録などが処分の対象になり、抑止力は強まりました。ただ、囲い込みという行為そのものが消えるわけではありません。売主側の備えは引き続き必要だと考えています。
大手だから安心、という考え方は正しいですか?
会社の規模と安心は別物です。両手取引の比率が高い会社ほど囲い込みの傾向が指摘されることもあります。規模ではなく、説明の誠実さや報告の透明さで選ぶのがおすすめです。
売れない原因が囲い込みか、ただの価格の問題かを知りたいです
両方ありえます。まずは相場と照らして価格が適正かを確かめ、そのうえでレインズの状況を確認するのが順番です。判断に迷うときは、家が売れないときに見直すポイントも読んでみてください。
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囲い込みは、知らないままだと損につながりやすい問題です。でも、仕組みを知っていれば備えられます。稲沢・一宮・あま周辺で売却を考えていて、今の進め方に不安があるという方は、まず話を聞きたいからでも、当社へ気軽にご相談ください。


