マンションのアスベスト調査、突然の46万円請求にびっくり!知っておくべき3つのポイント

今、なぜアスベスト調査が必要なのか?
「工事費用100万円の見積もりが出ていたのに、後から突然アスベスト検査費用46万円の追加請求が…」
最近、このような事例に遭遇しました。
修繕積立金が不足しているため大規模修繕工事を2 3年延期するために一部だけ補修を計画して管理会社から提示されていた工事の見積もりが税込約100万円でした。ところが後日、管理会社から「アスベスト検査費用」として46万円の追加請求のメールが届いたのです。
このときの検査が必要な箇所は4か所:
・外壁塗装面
・軒裏面
・タイル接着面
・塩ビシート接着面
結果として、当初の工事費用100万円に検査費用46万円が加わり、総額約150万円に。
このような予想外の出費に、多くの管理組合が頭を悩ませています。
では、なぜこのようなアスベスト検査が必要になったのでしょうか?
アスベスト(石綿)は、かつて建築材料として広く使用された繊維状の鉱物です。断熱性や耐火性に優れているため、多くの建材に使用されてきました。
しかし、このアスベストが空気中に飛散して吸い込むと、深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。特に怖いのは、その症状が出るまでに非常に長い時間がかかることです。
例えば:
・石綿肺:15~20年
・肺がん:15年~40年
・悪性中皮腫:20年~50年
・びまん性胸膜肥厚:30年~40年
このように、被害が発覚した時にはすでに手遅れという可能性もあるのです。
アスベスト規制は、段階的に強化されてきました。
2021年4月:レベル3建材が規制対象に追加され、調査結果の記録作成・保存が義務化
2022年4月:一定規模以上の工事における事前調査結果の行政報告が義務化
2023年10月:アスベスト事前調査および分析の有資格者による実施が義務化
では、具体的にどのような工事で調査が必要になるのでしょうか。
以下の工事が該当します:
・解体工事:床面積80平方メートル以上
・改修工事:請負金額が税込100万円以上
マンションの大規模修繕工事では、ほとんどの場合が該当することになります。
ただし、2006年以降に建てられた建物については、アスベストを含む建材の使用が禁止されているため、事前調査が不要となるケースもあります。
【重要なポイント】 工事の規模に関わらず、アスベスト含有の可能性がある場合は調査が必要です。特に古い建物の場合、外壁塗装面、軒裏面、タイル接着面、塩ビシート接着面などが要注意です。
アスベスト調査の費用と対象範囲
「アスベスト検査って、1箇所あたり約10万円もするの?」
実は、検査自体の費用は1検体あたり3万円程度なんです。ただし、これは検査機関での分析費用だけの金額です。
なぜ高額になるのか、その理由を見ていきましょう:
・サンプル採取には資格を持った専門家が必要
・専門家の出張費用が発生
・採取時の養生や安全対策の費用
・検査機関への搬送費用
ただし、費用の設定は会社によって大きく異なります:
・1箇所ごとに10万円×4か所で40万円という場合
・4か所まとめて20万円程度の場合
【重要なポイント】 同じ日に4か所のサンプルを採取する場合、1人の専門家で対応できるため、見積もり方法によって総額が大きく変わることがあります。必ず複数の会社から見積もりを取ることをおすすめします。
調査が必要な箇所と内容
原則アスベストが明確に使われていないとはっきりとしているところ以外はすべてが対象です
ただし、ここで重要なポイントがあります。
同じ建材が複数箇所にある場合、全ての箇所を検査する必要はありません。例えば、同じ時期に施工された同じタイプのタイルであれば、1箇所の検査結果で判断できます。
【費用削減のポイント】 検査前に、同じ建材がどの箇所で使用されているか、しっかり確認することで、必要な検査箇所を最小限に抑えることができます。
調査結果の有効期限について
「一度検査したら、また検査する必要があるの?」
これは多くの方が気にされる点です。
結論から言うと、アスベスト検査に法定の有効期限はありません。一度、アスベストが含まれていないことが確認できれば、その建材について再度検査する必要はありません。
ただし、以下の点には注意が必要です:
・検査結果の記録をしっかり保管すること
・工事の際は、過去の検査結果を施工業者に提示すること
・建材が破損したり改修されている場合は、再度検査が必要になる可能性がある
【管理組合様へのアドバイス】 検査結果は、将来の工事のためにも大切な資料となります。管理組合の重要書類として、適切に保管しておきましょう。
管理組合として確認すべきこと
「アスベスト検査、本当に今必要なの?」 「もしかして、過去に検査済みかも?」
そうなんです。
原則ほとんどの補修工事がアスベストの確認が必要となってしまうので、過去に検査をしているのに、そのことを知らずに再度検査を依頼してしまうケースがありえます
どのように確認すれば良いのか、具体的に見ていきましょう。
過去の調査記録の確認方法
アスベスト検査の記録は、基本的に管理組合で保管されているはずです。では、どうやって確認すれば良いのでしょうか?
まずは管理会社に確認することをおすすめします。
理由は以下の通りです:
・管理会社は過去の工事記録を把握している
・調査記録の保管場所を知っている
・過去の工事内容について詳しい情報を持っている
※基本的には理事会で決めて発注が管理会社にお願いするのが流れですから
【重要なポイント】 「いつ」「どの箇所の」「どんな検査」をしたのか、具体的に確認しましょう。
調査費用の削減方法
費用削減の大きなポイントは、「ムダな検査を避けること」です。
具体的なチェックポイント:
・過去の検査記録はないか
・同じ建材が使用されている箇所はどこか
・検査が本当に必要な箇所はどこか
特に注意したいのは、過去の検査結果の有効活用です。
一度アスベストが含まれていないと確認された建材を、再度検査する必要はありません。
工事業者選定のポイント
アスベスト検査を含む工事の見積もりを取る際は、以下の点に注意しましょう:
- 必ず複数の業者から見積もりを取る ・検査箇所の範囲 ・費用の内訳 ・工期 これらを比較検討することで、適正な価格と内容を見極めることができます。
- 見積もり内容の確認ポイント
- 検査対象となる箇所は適切か
- 同じ建材の検査が重複していないか
- 過去の検査結果が活用できないか
【管理組合様へのアドバイス】 見積もりの比較検討は、必ず管理組合内で十分に議論しましょう。「急いでいるから」と、一社の見積もりだけで決めてしまうのは避けてください。
最後に一言:アスベスト検査は居住者の安全を守るために必要な検査です。ただし、必要以上の検査や重複した検査は避けたいもの。この記事で解説したポイントを参考に、適切な判断をしていただければと思います。