マンション修繕談合疑惑、大京など大手も調査対象に!資産価値への影響と対策

相談者Aさん

うちのマンションは、ニュースに出てたグループ会社の管理会社さんに頼んでいるだけど大丈夫かしら?

相談者Bさん

うちも同じよ。将来住み替えでマンションを売る時に安くなったりしないのかしら?

こんにちは、稲沢あんしん不動産の佐藤です。

私は不動産業界で28年以上の経験を持ち、
マンション管理士としても4つの管理組合(名古屋市内3棟・稲沢市1棟)の
顧問も務めています。

代表 佐藤

昔から疑惑のあった大規模修繕工事にいよいよ公正取引委員会のメスが入りましたね!

今回は、マンション業界で最も注目を集めている「マンション修繕談合疑惑」について、
最新情報と資産価値への影響、そして皆さんができる対策をお伝えします。

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最新ニュース:大京グループも調査対象に

読売新聞オンラインからマンション修繕談合疑惑の記事の写真。新たに大京穴吹建設も公正取引委員会の立ち入り検査

先日、新たなニュースが飛び込んできました。
2025年4月23日、公正取引委員会は不動産大手「大京」の子会社「大京穴吹建設」や三井住友建設の子会社「SMCR」など数社に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査を実施しました。

これは先月3月にも、長谷工リフォームや清水建設の子会社など約20社への立ち入り検査があったことに続くもので、調査対象は業界の主要企業を含む約30社にまで拡大しています。

業界トップ企業が調査対象に

出典:リフォーム産業新聞の「マンション大規模修繕売上ランキング2025」、報道資料をもとに作成

特に衝撃的なのは、
大京穴吹建設は
マンション大規模修繕工事業界の売上ランキング1位(464億円)を誇る企業であり、
上位3社が今回の調査対象に含まれていることです。

マンション修繕業界の主要企業と公取委立入検査対象一覧

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企業名企業概要売上・ランキング情報
大京穴吹建設大京グループ、不動産会社「大京」の完全子会社売上高464億円、大規模修繕売上ランキング1位
SMCR三井住友グループ公取委による立入検査対象
長谷工リフォーム長谷工グループ、マンション大規模修繕元請け売上高344億円、大規模修繕売上ランキング3位
シミズ・ビルライフケア清水建設グループ売上高166億円、大規模修繕売上ランキング5位
建装工業独立系、老舗、超高層に強み売上高421億円、大規模修繕売上ランキング2位
中村建装店独立系、1960年創業売上高131億円、塗装技術に特化
建設塗装工業独立系、1939年創業鉄道工事事業からマンション修繕に90年代から進出
シンヨー独立系1939年創業、鉄道工事事業から80年代にマンション修繕事業に進出
日装・ツツミワークス独立系マンション修繕工事件数は全国で4500棟以上、日装とツツミワークスが2023年に合併
大和独立系売上高100億円、大規模修繕売上ランキング9位、首都圏を中心に実績
リノ・ハピア独立系1989年創業、防水分野に特化
YKK AP ファサードYKKグループ1990年代からアルミサッシ等の製造技術を加えマンション修繕を手掛ける

※出典:日経新聞、ダイヤモンドオンライン

中古車業界のビッグモーター問題のように、
業界のリーディングカンパニーが関わる疑惑となっています。

前回は首都圏ということもあり
東海エリアでは、あまりなじみのない会社名が並んでいましたが、
今回の報道では東海エリアでも知名度のある
ライオンズマンションの大京のグループ会社が調査対象となったことで、
自分のマンションは大丈夫なのかと不安を持たれている方も多いのではないでしょうか?

マンション修繕談合とは何か?

こっそりと集まって犯罪の計画を練っている悪い人達を描いた共謀罪のイラストです。
マンションの大規模修繕工事は儲かるからやめられない

談合の基本的な仕組み

公正取引委員会の調査によると、マンションの大規模修繕工事を請け負う複数の業者が、表面上は競争しているように見せかけながら、実際には事前に受注する会社や受注額を決めていた疑いがあるとされています。これが「談合」と呼ばれるもので、独占禁止法違反(不当な取引制限)に当たる可能性があります。

大規模修繕工事の基礎知識

大規模修繕工事とは、マンションでは13〜15年に1回行われる、屋上防水や外壁タイルなどのメンテナンスのために足場を組んで実施する大掛かりな工事のことです。具体的には以下のような工事が含まれます:

  • 外壁塗装や防水工事
  • タイルの補修や打ち替え
  • バルコニーの防水
  • 屋上の防水
  • 共用部分の給排水管や電気設備の更新
  • エントランスやエレベーターホールの内装更新

これらの工事は建物の耐久性を維持し、資産価値を保つために不可欠です。しかし、その規模や専門性から、一般の住民には適正価格や工事内容の判断が難しく、談合が行われやすい環境となっています。

なぜ問題が起きるのか?業界構造に原因あり

この問題をさらに深刻にしているのは、マンション修繕業界の構造にあります。多くの場合、マンション管理組合(住民の集まり)には専門知識がなく、業者選定を管理会社に依頼します。

談合が生まれる構造的要因

  1. 専門知識の非対称性:管理組合側に専門知識がない
  2. 利益相反の存在:管理会社と施工会社の関係が不透明
  3. 情報の非透明性:価格形成や業者選定の過程が見えにくい
  4. 慣習的な業界体質:「業界の慣習」として長年続いてきた背景
  5. 住民の無関心:自分たちの財産であるにも関わらず関心が低い

ここで施工会社と管理会社が癒着し、バックマージン(裏金)の授受が行われることで談合に加担しているケースが少なくないという指摘があります。業界の専門家からは「マンション修繕の入札談合は昔から存在し、業界内では暗黙の了解だった」とする声も聞かれます。

つまり、この問題は一部の悪質な業者だけの問題ではなく、業界全体に根付いた構造的な問題である可能性が高いのです。

談合の具体的な手口と事例

実例:「財布の中身を知られている」危険性

私の知人のマンション管理士から聞いた興味深い事例で。

ある管理会社が提示した大規模修繕工事の見積金額が、
そのマンションの修繕積立金の残高とほぼ同額だったそうです。

具体的には、マンション全体で8,000万円の積立残高があり、
管理会社が出してきた見積もりも8,000万円に近い金額でした。

これは「財布の中身を知っている」からこそできる金額設定です。

管理会社が複数の工事会社からの見積もりを取り寄せたとしても、
管理会社主導であれば価格操作が行われている可能性は否定できません。

確証はなくても、透けて見えてしまうものです。

談合の典型的な手口

談合は様々な形で行われますが、典型的な手口としては以下のようなものがあります:

  1. 相見積もりの偽装:複数の業者が見積もりを出すように見せかけて、実際には話し合いで受注業者と金額を事前に決定
  2. 輪番制:「今回はA社、次回はB社」というように受注業者をあらかじめ順番で決める
  3. 高額な見積もり提出:受注予定ではない業者があえて高い見積もりを出し、特定業者が落札しやすくする
  4. 発注条件の操作:特定の業者だけが満たせる条件を設定する
  5. バックマージンの授受:受注業者が管理会社やコンサルタントに裏金を支払う

これらの手法により、表向きは適正な競争が行われているように見せかけながら、実際には競争原理が働かない状況が作り出されています。

住民の負担増と資産価値への影響

経済的損失の規模

報道内容によると、こうした談合によって工事費用が1〜2割も不当に高くなっているとされています。

国土交通省の2021年当時の調査では、大規模修繕工事の費用は一般的に4,000万〜6,000万円程度とされていますが、談合によって2割増しになっていれば、800万〜1,200万円もの余分な費用が住民の皆さんの修繕積立金から支払われていることになります。

現在の東海エリアでの一般的な50戸前後規模のマンションでは、
大規模修繕工事費が6,000万〜7,000万円程度ですから、
その2割となると結構大きな金額ですね。

資産価値への長期的影響

談合による高額工事は、以下のような形でマンションの資産価値に悪影響を及ぼします:

  1. 修繕積立金の枯渇:過剰な支出により、将来的な修繕のための資金が不足
  2. 追加徴収のリスク:積立金不足により住民への追加徴収が必要になる可能性
  3. 管理体制への不信感:買主から見て管理組合の運営能力に疑問符
  4. 修繕計画の遅延:予算不足による必要な修繕の先送り
  5. 売却時の価格交渉材料:買主側から「管理不全」を理由とした値引き要求

不動産を売却する際にも、この問題は重要なポイントになります。マンションの管理状態や修繕履歴は買主が最も重視する要素の一つだからです。不当に高い修繕費用を支払っていると、修繕積立金の状況が悪化し、管理組合の運営に疑問符がつき、物件の資産価値に直接的な悪影響を及ぼしかねません。

あなたができる対策:資産を守るために

こうした問題に対して、あなたが自分の資産を守るためにできることはあります。

最も重要なのは、「管理会社任せ」にせず、自ら管理組合の運営に積極的に参加することです。現実には難しい面もありますが、特に大規模修繕工事の計画段階から関わり、業者選定プロセスの透明性を確保することが大切です。

「業界の慣習だから」「素人だから」と諦めるのではなく、次のような具体的な対策が効果的です:

  1. 自分たちで複数の業者から見積もりを取る
  2. 利害関係のない第三者の専門家(マンション管理士など)に依頼する
  3. 修繕委員会に建築関係に詳しい住民に参加してもらう

大規模修繕工事を実行するために、理事会とは別に「修繕委員会」という専門委員会を住民から選出するのが一般的です。

私の経験では、この委員会に建築関係に詳しい住民の方が加わると、
住民への説明も工事の進行も非常にスムーズになります。

最終的な決定は住民全員が行うので、
知識と経験がある方にリーダーシップをとってもらうと意思決定がしやすくなります。

売却時の影響と対応

このニュースが出たことで、
疑いのある会社名の関連するブランドの中古マンションは
「このマンション大丈夫かな?」と思われるリスクがあります。

相談者Aさん

談合のニュースにでてたグループ会社のマンションだけど買っても大丈夫なのかしら?

現時点では売却相場に影響は見られませんが、
例えば大京の名前が出ているため、
ライオンズマンションを検討している買主から
「ニュースに出ていましたが、このマンションは談合の対象でしたか?」
「将来的に大丈夫ですか?」
といった質問が出ることは想定しておくべきでしょう。

マンション修繕談合問題について、新たな動きがありましたので追記いたします。

【追記】国土交通省から談合違約金特約条項について通知(2025年6月26日)

今回のマンション修繕談合問題を受けて、2025年6月26日に国土交通省から各マンション管理関連団体宛てに重要な事務連絡が発出されました。

国交省の対応方針

国土交通省は、公正取引委員会による立ち入り検査の報道を受けて、談合の防止を図る観点から「談合違約金特約条項」の設定を推奨する旨の通知を行いました。

この特約条項は、談合があった場合に受注者が違約金を支払う義務を請負契約締結時に設定するもので、国土交通省の直轄工事では既に導入されている仕組みです。

管理組合が活用できる具体的な条項

国交省は、マンション修繕工事においても以下のような違約金特約条項の設定が可能であることを示しています:

【談合があった場合の違約金条項(例)】

以下の条項をそのまま工事請負契約書に追加することができます:


(談合があった場合の違約金等) 第○条 受注者(共同企業体にあっては、その構成員)が、次に掲げる場合のいずれかに該当したときは、発注者の請求に基づき、請負代金額(この契約締結後、請負代金額の変更があった場合には、変更後の請負代金額。)の**○%**に相当する額を違約金として発注者の指定する期間内に支払わなければならない。

この契約に関し、受注者が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。)第3条の規定に違反し、又は受注者が構成事業者である事業者団体が独占禁止法第8条第1号の規定に違反したことにより、公正取引委員会が受注者に対し、独占禁止法第7条の2第1項(独占禁止法第8条の3において準用する場合を含む。)の規定に基づく課徴金の納付命令(以下「納付命令」という。)を行い、当該納付命令が確定したとき(確定した当該納付命令が独占禁止法第63条第2項の規定により取り消された場合を含む。以下この条において同じ。)。

納付命令又は独占禁止法第7条若しくは第8条の2の規定に基づく排除措置命令(これらの命令が受注者又は受注者が構成事業者である事業者団体(以下「受注者等」という。)に対して行われたときは、受注者等に対する命令で確定したものをいい、受注者等に対して行われていないときは、各名宛人に対する命令すべてが確定した場合における当該命令をいう。)において、この契約に関し、独占禁止法第3条又は第8条第1号の規定に違反する行為の実行としての事業活動があったとされたとき。

この契約に関し、受注者(法人にあっては、その役員又は使用人を含む。)の刑法(明治40年法律第45号)第96条の6又は独占禁止法第89条第1項若しくは第95条第1項第1号に規定する刑が確定したとき。

受注者は、前項各号のいずれかに該当する事実が発生した場合には、遅滞なく発注者にその旨を通知しなければならない。

受注者が第1項の違約金を発注者の指定する期間内に支払わないときは、受注者は、当該期間を経過した日から支払いをする日までの日数に応じ、年3パーセントの割合で計算した額の遅延利息を発注者に支払わなければならない。

受注者は、契約の履行を理由として、第1項の違約金を免れることができない。

第1項の規定は、発注者に生じた実際の損害の額が違約金の額を超過する場合において、発注者がその超過分の損害につき賠償を請求することを妨げない。


違約金の割合について

国土交通省の直轄工事では請負代金額の10%(首謀者の場合は追加で5%)を違約金として設定していますが、マンション修繕工事では管理組合が個別に割合を決めることができます。

注意点とリスク

国交省は以下の点についても注意喚起しています:

  • 受注者から賠償金支払い義務の有無を巡り訴訟となるリスク
  • 賠償金支払い債務の不払い等のリスク
  • 弁護士等専門家への相談を推奨

管理組合としての対応

この違約金特約条項は、談合を抑制する効果的な手段の一つです。今後大規模修繕工事を予定している管理組合では、以下の対応を検討されることをお勧めします:

  1. 修繕委員会での検討:違約金特約条項の導入について話し合う
  2. 専門家への相談:弁護士やマンション管理士に具体的な条項について相談
  3. 契約書への明記:工事請負契約書に明確に記載する

談合問題は業界全体の構造的な問題ですが、管理組合としてできる対策を一つずつ実行していくことが、あなたの大切な資産を守ることにつながります。

まとめ

まとめ

今回の公正取引委員会による立ち入り検査で明らかになったように、
マンション修繕工事の談合問題は業界全体に広がっている可能性があります。

この問題は今後も展開が続くと予想されますので、
最新情報をチェックしていくことが大切です。

不動産を所有するということは、
単に住むだけでなく、資産を守り育てていくことでもあります。

特にマンションは「共有財産」という側面があり、
管理組合の運営状況や修繕の適切さが資産価値を左右します。

管理会社任せは悪くはないのですが、
任せっぱなしにした結果の責任はあなたにあります。

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