【稲沢市】相続アパートは売却?活用継続?10年比較で判断基準を解説|税金・費用も

相続したアパート、活用を続けるか売却するか。稲沢市の実例をもとに判断基準を詳しく解説します。

「稲沢市で相続したアパート、このまま続けるべきか、それとも売却すべきか…」

相続した築古アパートの扱いに悩んでいる方は少なくありません。
特に稲沢市では、空室率11.1%、賃貸用空き家3,620戸(全体の57.1%)という厳しい現実があります。

この記事では、築35年・木造6戸のアパートを実例に、
「活用継続」と「売却」を10年間で徹底比較し、
あなたに合った判断基準を28年の経験をもとに解説します。

この記事で分かること
  • ✓ 初期投資459万円で10年後715万円 vs 即現金880万円の比較
  • ✓ 譲渡所得税の計算方法と節税ポイント
  • ✓ 稲沢市特有のリスク要因(空室率・人口減少)
  • ✓ あなたに合った判断基準チェックリスト

最後まで読めば、あなたの状況に合った「納得できる選択」が見えてきます。

【あなたはどちらを選ぶべき?】4つの質問に答えるだけで、活用継続と売却のどちらが適しているか診断できます。すべての条件を満たす場合のみ活用継続がおすすめです。
相続アパート活用か売却かの判断基準フローチャート。物件の距離、賃貸経営への興味、初期投資の余裕、突発的修繕費用への対応可否の4つの質問で最適な選択を診断

「相続したアパート、このまま賃貸を続けるべき?それとも売却したほうがいい?」

「リフォームにお金をかけても、本当に元が取れるの?」

こんにちは、稲沢あんしん不動産の佐藤です。

相続で築古アパートを取得された方から、このようなご相談をよくいただきます。

正直なところ、この「活用か売却か」という判断は、不動産のプロでも悩むところです。

なぜなら、数字だけでは測れない要素がたくさんあるからです。

今回は、28年の不動産経験と稲沢市の実際のデータをもとに、あなたに合った判断ができるよう、具体的なシミュレーションと判断基準をお伝えします。

最後まで読んでいただければ、「自分はどちらを選ぶべきか」がきっと見えてくるはずです。

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まずは相続手続きを確認しましょう

築古アパートの活用か売却かを考える前に、相続手続きが済んでいるか確認が必要です。

実は、遺産分割協議が終わっていないと、売却はもちろん、大規模リフォームも解体もできません。

「え、そうなの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

相続した不動産が「誰のものか」が法的に確定していないと、何も進められないのです。

相続手続きの全体像については、初めての不動産相続|初心者向け相続手続き5つのステップで詳しく解説しています。

兄弟間で話し合いが難しい場合でも、解決方法はあります。

【初めての不動産相続】兄弟同士話せなくても実家処分できた事例|換価分割もぜひ参考にしてください。

【参考事例】稲沢市郊外の築35年アパートの場合

相続アパートの活用継続と売却を10年間で比較したインフォグラフィック。活用継続は初期投資459万円で10年後715万円、売却は即手取り880万円を図解
【10年比較】活用継続の場合は初期投資459万円が必要ですが10年後に715万円。売却の場合は即座に880万円の現金化が可能です。

それでは、具体的な事例で「活用」と「売却」を比較してみましょう。

今回は、稲沢市でよくあるタイプの築古アパートを例にします。

物件概要

項目内容
所在地稲沢市郊外
築年数35年(木造2階建て)
戸数6戸(1K)
現況3戸入居中(月額2.8万円)、3戸空室
土地面積200㎡(約60坪)
建物状況外壁・屋根劣化、設備老朽化

半分が空室という状態です。

「このまま放置するわけにはいかないけど、どうしたらいいの…」という典型的なケースですね。

現状の収支を把握する

まずは今の状態での収支を確認しましょう。

年間収支(空室3戸放置の場合)

項目金額
年間収入100.8万円(2.8万円×3戸×12ヶ月)
年間支出約28万円(固定資産税、保険、管理費等)
年間収支72.8万円の黒字

「あれ、黒字じゃん!」と思われたかもしれません。

確かに、今の状態でも年間70万円以上の収入があります。

ただ、この数字だけを見て判断するのは危険です。

建物は年々劣化していきます。

突然の修繕費用、空室率の上昇…。

これらのリスクを考慮した上で、10年後にどうなっているかを見る必要があります。

選択肢①:【活用継続】10年間の収支シミュレーション

本格的に賃貸経営を続ける場合、まず空室のリフォームが必要です。

初期投資の試算

項目金額
空室3戸のリフォーム189万円(63万円×3戸)
大規模修繕(外壁・屋根等)270万円
合計初期投資459万円

約460万円の初期投資が必要です。

満室時の収益性

項目金額
年間収入(満室)201.6万円
実効収入(稼働率90%想定)181.4万円
年間支出約66万円
年間収支115.4万円

年間115万円の収益が見込めます。

投資回収期間は約4年。

数字だけ見ると、悪くないように見えますよね。

選択肢②:【売却】手取り額と税金の計算

次に、売却した場合を見てみましょう。

査定価格の考え方

築35年の木造アパートは、建物としての評価がほぼゼロです。

むしろ、更地にした方が高く売れるケースが多いです。

項目金額
土地価格(坪28万円×60坪)1,680万円
解体費用250万円
更地価格1,430万円

売却にかかる費用

項目金額
仲介手数料50.4万円
印紙税・登記費用等約4万円
測量費用40万円~
解体費用250万円
合計344.4万円

売却にかかる費用や必要書類については、不動産売却の必要書類、まさか紛失?再発行できない書類で売却が台無しに…で詳しく解説しています。

譲渡所得税について

取得時の契約書や領収書が見つからない場合、取得費は売却価格の5%として計算されます。

この場合、譲渡所得税は約206万円となります。

なお、「相続した空き家の3000万円特別控除」という制度がありますが、これは被相続人が住んでいた居住用の家屋が対象です。

賃貸アパートのような貸付用物件には使えませんので、ご注意ください。

売却後の手取り額

諸費用と税金を差し引いた手取り額は約880万円となります。

📌 関連記事

なお、より大型の賃貸アパート(鉄骨造・20戸規模など)の売却方法や、
査定の詳細(収益還元法・積算法の違いなど)については、以下の記事で解説しています。

【詳細解説】相続した賃貸アパートの売却方法|査定・税金・手続きを徹底解説

10年比較:活用継続vs売却、どちらが得?

賃貸アパート活用継続の10年間キャッシュフロー推移グラフ。初期投資マイナス459万円から年間収支プラス115万円で上昇、突発的修繕費用で凹みながら10年後715万円に到達
【活用継続のキャッシュフロー】初期投資-459万円からスタート。年間収支+115万円で回復しますが、外壁再塗装(3年目)、給排水トラブル(5年目)、屋根補修(7年目)などの突発的な修繕費用が発生します。

さて、ここからが本題です。

「活用」と「売却」、10年後にどちらが有利になるか比較してみましょう。

活用継続の場合(現実的リスク考慮)

項目金額
初期投資-459万円
10年間収支+1,154万円
追加修繕費用-480万円
10年後資産価値(築45年)+500万円
合計715万円

ただし、これは「順調にいった場合」の数字です。

現実には、以下のリスクを考慮する必要があります。

考慮すべきリスク

家賃について

月額2.8万円という家賃は、稲沢市郊外の1Kとしてはほぼ底値です。

これ以上下げると採算が合わなくなるため、下落余地は限定的といえます。

ただし、「下げられない=競争力がない」ということでもあります。

周辺に新しい物件ができれば、入居者確保はさらに難しくなります。

空室率について

今回の試算では稼働率90%(常時空室0.6戸程度)を想定していますが、これはかなり楽観的です。

そもそもこの物件、現状で6戸中3戸が空室(稼働率50%)です。

リフォームしたとしても、築35年の郊外物件が常時90%稼働できるかは、正直なところ厳しい戦いになります。

仮に稼働率が70%まで落ちると、年間収支は約80万円まで下がります。

即売却の場合

売却すれば、手取り約880万円が確定します。

10年間の家賃収入はありませんが、管理の手間やリスクからは解放されます。

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ここまで読んでいただいて、「うちのアパートはどうなんだろう?」と思われた方も多いのではないでしょうか。

実際の判断には、物件ごとの詳しい査定が必要です。

私たち稲沢あんしん不動産では、相続不動産の無料査定を承っております。

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稲沢市の賃貸市場の厳しい現実

【稲沢市の厳しい現実】空き家率11.1%、賃貸用住宅の空き家は全体の57.1%(3,620戸)。2027年には人口12.4万人まで減少予測、高齢化率は2045年に35%まで上昇する見込みです。
(出典:稲沢市空家等対策計画、平成30年住宅・土地統計調査)
稲沢市の賃貸市場データダッシュボード。空き家率11.1%、賃貸用空き家3620戸(全体の57.1%)、人口減少予測、高齢化率上昇を4つのグラフで図解

数字だけでなく、稲沢市の市場環境も押さえておく必要があります。

賃貸の空室が3,620戸もあるんです。

新しい競合物件がどんどん増える中で、築35年以上の物件が選ばれ続けるのは、正直なところ厳しい戦いです。

稲沢市特有のリスク要因

  • 製造業中心の産業構造で、若者・女性が希望する雇用が不足
  • 郊外立地は名古屋通勤需要があっても築古物件は不利
  • 人口減少と高齢化で単身者向け需要が縮小傾向

空き家問題については、空き家を放置すると固定資産税が6倍に!専門家が教える「特定空き家」と「管理不全空き家」の現実で詳しく解説しています。

数字では測れない「精神的負担」

28年の経験から正直に申し上げます。

数字上は継続が有利でも、実際には多くの方が精神的負担で後悔されています。

賃貸経営には、こんな負担がかかります。

  • 24時間365日の管理責任(入居者トラブル、設備故障対応)
  • 空室期間のストレス(家賃収入減、広告費負担)
  • 税務処理の複雑化(確定申告、修繕費用の判定)
  • 近隣クレーム対応(騒音、ゴミ問題等)

これらは金額換算できません。

でも、「安心して眠れる」という価値は、とても大きいと私は思います。

判断基準チェックリスト

【あなたはどちらを選ぶべき?】4つの質問に答えるだけで、活用継続と売却のどちらが適しているか診断できます。すべての条件を満たす場合のみ活用継続がおすすめです。
相続アパート活用か売却かの判断基準フローチャート。物件の距離、賃貸経営への興味、初期投資の余裕、突発的修繕費用への対応可否の4つの質問で最適な選択を診断

最後に、あなたの状況に合わせた判断基準をお伝えします。

活用継続をおすすめする場合

  • 物件が自宅から近く、管理に時間を割ける
  • 不動産賃貸業に興味があり、勉強を楽しめる
  • 初期投資500万円程度に余裕がある
  • 突発的な修繕費用に対応できる財務体力がある
  • 入居者とのコミュニケーションが苦にならない

売却をおすすめする場合

  • 物件が遠方にあり、管理が困難
  • 本業が忙しく、副業に時間を割けない
  • まとまった現金が必要(相続税納税、住宅購入等)
  • 不動産管理に精神的負担を感じる
  • 築古物件の将来性に不安を感じる

売却時に用意する書類チェックリスト

売却を選ばれる場合は、以下の書類を準備しておくとスムーズです。

必須書類

  • 権利証(登記済証)または登記識別情報通知書
  • 固定資産税納税通知書・評価証明書
  • 建物図面・測量図
  • レントロール(全戸の家賃一覧表)
  • 賃貸借契約書(全戸分)
  • 管理委託契約書
  • 修繕履歴・修繕計画書
  • 過去3年分の収支明細

あると有利な書類

  • 取得時の売買契約書・領収書(税金が数百万円変わります)
  • 建築時の工事請負契約書・領収書
  • 相続税申告書の控え
  • 境界確認書・筆界確認書

特に取得時の書類は非常に重要です。

これがあるかないかで、譲渡所得税が数百万円変わることもあります。

まとめ

今回の記事では、稲沢市で築古アパートを相続した場合の「活用」と「売却」を比較しました。

数字だけを見ると、活用継続の方が10年後のリターンは大きくなる可能性があります。

しかし、空室リスクや修繕費用、そして何より精神的な負担を考えると、売却によって確実な現金化を選ぶことも賢明な判断です。

最終的にはご自身のライフスタイルと価値観で決めることが最も重要です。

「賃貸経営を前向きに楽しめるか」「管理の責任を負い続けたいか」を正直に自問してみてください。

どちらを選ぶにしても、一人で悩む必要はありません。

私たち稲沢あんしん不動産は、相続不動産の無料査定・活用相談を承っております。

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宅地建物取引士・不動産コンサルティングマスター

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