空き家・土地の測量費用はなぜ必要?相場と今すぐ確認したい5つのポイント

測量費の見積書を見て驚く女性と、境界杭のそばでトランシットを構える測量士のイラスト。「空き家売却で突然50万円!?ほとんどの人が知らない測量費」の見出し。
佐藤高樹

執筆者:佐藤高樹(稲沢あんしん不動産 代表)
宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)/業界28年・査定実績5,000件超
代表紹介を詳しく見るお客様の声(★5.0・15件)

「え、こんな費用があったんですか」

空き家や実家の売却を考え始めた方から、私がよくいただく反応です。

その費用とは「測量費用」のこと。

この辺りで50坪前後の土地なら、だいたい40万円台〜45万円前後、条件によっては50万円を超えることもあります。

測量と聞くと、土地の売却とはあまり結びつかないかもしれません。

でも怖いのは費用だけではありません。

測量は、境界(自分の土地と、隣の土地・道路・水路との境目)をはっきりさせるための作業です。

境界の目印がない、ブロック塀がどちらの所有か分からない、屋根や雨どいが隣の敷地に少し入り込んでいる、水道管や下水管が隣と共用になっている。

こういったことが売る直前に分かると、売却がストップしてしまうことがあります。

特に注意してほしいのが、代替わりで相続した空き家です。

「お父さんの代ではここまでがうちの土地だった」と、隣の方から聞かされて困るケースが少なくありません。

本人がいなくなってからでは、経緯を確かめようがないからです。

この記事では、なぜ測量費用が必要なのか、費用はいくらで誰が払うのか、測量しないで売ることはできるのか、そして今すぐ自分の家でも確認できる5つのポイントまで、私の現場感覚でお話しします。

※この記事の内容は、YouTube動画でも解説しています。

ここまでの内容以外にも、不動産売却・相続・空き家について動画で解説しています。

見積書の測量費用欄を見て「え、そんな費用があったんですか」と驚く女性のイラストと吹き出し。
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そもそも「境界」とは何か

戸建てを中心に、隣地・道路・水路との境界線を赤い点線で示した俯瞰イラスト。境界標の位置に杭のマークがある。

普段の生活ではあまり意識しませんが、土地には必ず「境界」があります。

境界とは、自分の土地と、隣の土地・道路・水路との境目のことです。

この境界がどこにあるかを示す目印が「境界標」です。

コンクリートの杭だったり、金属のプレートだったりしますが、土地の角に埋まっているのが基本です。

四角い土地なら4箇所、変形した土地ならその角の数だけあります。

長く持っている土地ほど、いつの間にか境界標が抜けていたり、草に埋もれて見えなくなっていたりします。

この境界を測量によって改めてはっきりさせる。

これが測量の本当の目的です。

なぜ今、測量がほぼ必須なのか

古い空き家の敷地図解。境界杭が見当たらない、ブロック塀の所有不明、測量図と現況の不一致、屋根や雨どいの越境、土地の範囲が分からないという5つの困りごとを吹き出しで示す。

結論から言うと、空き家や土地を売るとき、今は測量が必要になることがほとんどです。

理由はシンプルで、境界がしっかりしていない土地は、一般の方にはもう売りにくいからです。

古いお家では、こんなことがよく起こります。

  • 境界標(杭)が見当たらない
  • ブロック塀がどちらの所有か分からない
  • 測量図があっても、今の実際の状況と合っているか分からない
  • 隣の建物の屋根や雨どいが、敷地の中に入ってきている
  • 相続した本人も、どこまでが自分の土地かよく分かっていない

「昔からこの状態だったから大丈夫でしょう」と思われるかもしれません。

ただ、これは売る側の感覚です。

買う側からすると、話は別です

契約書を手に不安げな表情の女性と、マイホーム購入・住宅ローン・家族でずっと住むという3つの将来イメージを吹き出しで示すイラスト。

買う方は、何百万、何千万円ものお金を出して、住宅ローンを組んでまで、これからずっと住むつもりで不動産を買います。

だからこそ、将来何かあったらということまで考えます。

境界がよくわからないまま、隣との確認も取れていない状態で買ってしまうと、住み始めてから「ここは実は境界の内側じゃなかった」と言われかねません。

これでは、買う人が安心して契約できませんよね。

境界があいまいなまま売ろうとすると、主に3つの不都合が出てきます。

境界不明の土地に大きく×印が付いたイラストと、境界がはっきりしないと買主も不安で買えないと困った表情で話す女性。

1. 将来、隣地と揉めるリスク

境界という目印があれば「ここからここまでです」とはっきり言えます。

目印がないと、境がどこなのか隣の方との話し合いで決めるしかありません。

話し合いがこじれることもありますし、その揉めごとを引き受けるのは、土地を買った後のお客様です。

2. 登記簿の面積と、実測の面積が合っているか確認できない

売買では、登記簿に書いてある面積と、実際に測った面積(実測面積)の両方を見ます。

登記簿の数字は、昔のおおまかな測量のまま残っていることも多く、実測していないと、書いてある広さが本当にあるのか確認できません。

測ってみたら登記より狭かった、というのは珍しくないんです。

3. 売れる価格が安くなる

境界が分からないまま買い手を探すと、買う側にとってリスクのある土地になります。

将来揉めるかもしれない、面積が違うかもしれないという不安を抱えたまま買うことになるので、提示される金額はどうしても下がります。

測量代を惜しんだつもりが、結局それ以上に手取りが減ってしまう。

そういうこともあります。

だから買う人が不安に思う以上は、境界をはっきりさせてから契約したいと考えるのが普通です。

境界がはっきりしないなら見送ろう、となるわけですね。

相続した空き家は、特に注意してください

境界の目印の前で、高齢の男性が中年女性に「お父さんの代ではこうだったよ」と説明し、女性が困惑している様子のイラスト。

代が変わって相続した空き家ほど、境界のトラブルは起きやすくなります。

「あなたは知らないかもしれないけど、お父さんの代ではこういう約束があったんだよ」。

隣の方からこう言われて、困ってしまうケースが実際にあります。

相続した本人は、そのお父さんがもういないので、他に経緯を知っている人がいない。

ここで揉めてしまうと、後々まで尾を引いてしまいます。

昔からの口約束(「この通路は昔から使わせてもらっていた」というような書面に残っていない約束ごと)は、書面がなければ次の世代は何も言えなくなります。

時間が経つほど、当時の経緯を知っている人はいなくなり、相続でご所有者が増えて話し合いに時間がかかるようになり、そして測量費用そのものも年々上がっています。

将来、子供や孫に不動産を残すつもりなら、少なくとも境界の確認だけは早めにしておくことをお勧めします。

測量費用の相場と、誰が払うのか

測量費用の見積書と電卓のイラスト。合計金額44万円、50坪前後で40万円台〜45万円前後という費用感を示す。

測量をお勧めすると、次に気になるのは金額と、誰が払うのかですよね。

費用はいくらか

この辺りで50坪前後の土地でしたら、だいたい40万円台〜45万円前後が目安です。

土地の形や隣接する人の数、交渉の難易度によって変わるので、難易度が高いと50万円以上になることもあります。

一律にいくら、とは決まっていない費用だと覚えておいてください。

誰が払うのか

不動産売買契約書に押印する手元と、境界と面積を示す土地の図解。測量費は原則売る人が負担することを表す。

土地や戸建ての売却では、原則として売る人(売主)が測量費用を負担します。

「この土地はここからここまでで、面積はこうです」と、責任を持って言えるようにする義務が売り主にはあるからです。

契約の条件によっても変わるので、売り出し前に段取りを決めておくとスムーズです。

測量しないで売ることもできる

天秤で「費用」と「リスク」を比較するイラスト。測量せず現況のまま売る場合は、境界トラブルのリスクを買う側が承知の上で買うことになる点を示す。

本当に例外的なケースですが、どうしても測量費用が出せないという場合、測量せずに現況のまま売却する方法もあります。

ただしこの場合、買う側は将来の境界トラブルのリスクを承知の上で買うことになるので、その分安くなります。

あくまで例外的な話です。

今すぐ、自分で確認できる5つのポイント

今すぐ売る予定がない方にも、ぜひやっていただきたいことがあります。

家の周りをぐるっと一周して、隣との境目を確認してみてください。

確認してほしいポイントは5つです。

① 境界の杭(境界標)があるか

土に埋もれた境界杭をスコップで掘り出して確認する手元のイラスト。

敷地の角に、コンクリートやプラスチックの杭が入っているかを見てください。

地中に埋もれていて、少し掘らないと分からない場合もあります。

② ブロック塀・フェンスは誰のものか

境界のブロック塀を挟んで「うちの塀です」と言い合う隣同士の男女のイラスト。

家の周りにブロック塀やフェンスがある場合、それが自分の家のものか、隣の家のものか、それとも共有なのかを確認しておいてください。

「隣のものだと思っていたら、実は自分の家のものだった」ということも実際にあります。

③ 屋根・雨どい・室外機の越境

隣接する2軒の家の断面図。屋根や雨どい、室外機が境界線を越えて隣の敷地にはみ出している様子と、それを心配する吹き出し。

屋根の軒や雨どい、エアコンの室外機などが、自分の敷地から少しでもはみ出していないか確認してください。

「越境」とは、建物の一部が隣の敷地に入り込んでいる状態のことです。

1cm、2cmだから大丈夫だろうと思いがちですが、これも将来のトラブルの種になります。

④ 地中の配管(水道管・下水管)

地面の下を通る水道管・下水管の断面イラスト。境界線をまたいで隣地と共用になっているケースがあることを示す説明員のイラスト付き。

地面の中は見えませんが、水道管が隣の敷地を通って引き込まれていたり、下水の排水が隣と共用になっていたりすることが稀にあります。

建物を解体するなら、そのタイミングで配管の問題も整理しておきたいところです。

⑤ 昔からの口約束の有無

昔の世代が握手で口約束を交わす場面と、今の世代が「本当にうちの土地?」と困惑する場面を対比したイラスト。

「お父さんの代ではここまでがうちの土地」というような、書面に残っていない約束ごとがないか。

ご家族やご近所の方に、思い当たることがないか聞いてみるのもよいでしょう。

これらは難しい道具がなくても、ご自分の目で確認できることばかりです。

心配な点があれば、一度見せていただければ、私の方で判断のお手伝いができます。

測量にかかる期間と、実際の流れ

事前調査、現地測量、立会いの3ステップを示すカレンダー型の図解。トータルで3〜4ヶ月かかることを示す。

測量は、思っているよりも時間がかかります。

「土地を測るだけなのに、そんなにかかるの?」と驚かれることが多いのですが、これにはちゃんと理由があります。

実際の流れは、こんな感じです。

  1. 測量をご依頼いただく
  2. 必要な資料を集める
  3. 現地を調査する(杭が埋まっているか掘って確認したり、実際に測ったりします)
  4. 道路は市役所などが管理しているので、立会いの申請をする
  5. 申請から3〜4週間後に、市役所の担当者に立ち会ってもらう
  6. 隣の土地の所有者にも一緒に立ち会ってもらい、「この境界でいいですね」と承諾をいただく
  7. 全員の合意が取れたら、測量図(図面)を作成して納品。これで完成です

特に時間がかかるのが、市役所への立会い申請です。

申し込んですぐ来てもらえるわけではなく、ここだけで3〜4週間待ちます。

さらに隣の方の都合も合わせる必要があるので、全体でトータル3〜4ヶ月ほどを見ておく必要があります。

つまり、買い手が決まってから慌てて測量を始めると、引き渡しの予定が後ろにずれてしまいます。

だから早めに動いておくことが、結果的にスムーズな売却につながります。

空き家を解体するなら、測量と同時進行がおすすめ

測量士と解体業者が境界図を見ながら「この境界まで解体しますね」と確認し合う現場のイラスト。

空き家を解体してから土地として売る場合は、測量と解体を同時進行で進めることをお勧めしています。

境界がはっきりしていれば、解体業者さんに「ここからここまで壊してください」とはっきり指示できます。

逆に境界が不確定なまま「この辺りまで壊しておいてください」と進めてしまうと、後から境界が確定したときに、残していた部分も追加で取り壊さないといけなくなり、余計な費用がかかってしまいます。

状況によっては、建物があるせいで見通せず、解体しないと測量ができないケースもあります。この順番は物件ごとに事情が変わるので、詳しくは空き家・古家の売却で測量と解体をどう進めるかでも解説しています。

測量会社選びも、実は大事なポイント

チェックリストを持ち、ひび割れや傾き、境界を確認しながら物件の周りを歩く女性のイラスト。

測量が必要だと分かっても、いきなり測量会社に依頼しなくて大丈夫です。

まずはご自分の家がこれからどうするか(住宅として売る、解体して土地として売る、しばらく保有する、子供に相続させる)によって、測量の要不要や進め方が変わってきます。

測量会社選びも、正直ピンキリです。

ただ測ればいいというものではなく、隣の方との交渉力、遠方に住んでいる関係者がいる場合のフットワークの軽さ、資料をきちんと整えて残してくれるかどうかも大事な基準になります。

私も初めてお願いする測量会社は、慎重に選ぶようにしています。

測量や解体の判断は、正直、経験がものを言う部分です。

細かい「あれ?」に気づけるかどうかが、後々のトラブルを防げるかを左右します。

私はこの調査は臆病なくらいでちょうどいいと思っていて、見落としがないか何度も確認するようにしています。

まとめ:将来売るなら、境界確認は早めに

測量は、安全で確実な不動産の売買には欠かせない作業です。費用も時間も意外とかかるので、後回しにすると売り出しのタイミングを逃してしまうこともあります。

今すぐ売る予定がなくても、境界標があるか、ブロック塀やフェンスの所有関係、屋根や配管の越境、昔の口約束の有無。

この5つを確認しておくだけで、将来の選択肢がぐっと広がります。

代替わりで経緯を知る人がいなくなる前に、早めに確認しておくことをお勧めします。

測量をやった方がいいのか悩んでいるなら、まずは土地や空き家の売却について相談するところからでも構いません。

境界の状況を見せていただければ、本当に必要かどうか、一緒に判断できますよ。

空き家、このまま持ち続けますか? — 売却・活用を相談|稲沢あんしん不動産

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よくある質問

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境界標が全部そろっていれば、測量はいらないですか?

境界標が4箇所きちんと残っていて、登記簿の面積とも整合が取れていれば、確定測量まではいらないケースもあります。

ただ、古い土地だと標がずれていたり、隣地と認識が食い違っていたりすることもあるので、一度状況を見てから判断するのが安心です。

測量の費用は売主と買主、どちらが負担しますか?

境界を確定させて引き渡す売主側が負担することが多いです。

ただ契約の条件によるので、一概には言えません。

売り出し前に段取りを決めておくとスムーズです。

測量しないで売り出すことはできますか?

売り出すこと自体はできます。

ただ境界が不明確なままだと買い手が見つかりにくかったり、価格が下がったりします。

完成まで3〜4ヶ月かかるので、売却を決めた段階で早めに動いておくと安心です。

解体と測量、どちらを先にやればいいですか?

多くの場合は測量を先にして、状況を見ながら解体の時期を決めます。ただ現地の状況で順番が変わることもあるので、空き家・古家の売却で測量と解体をどう進めるかも参考にしてみてください。

相続した空き家は、特に急いだ方がいいですか?

はい。

代替わりした空き家は、当時の経緯を知っている人が周りにいなくなりやすく、口約束の確認が難しくなります。

親御さんやご近所の方が元気なうちに、境界だけでも確認しておくと安心です。

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