相続した実家を解体せず売却|売り出す前に同じ町内の会社へ決まった名古屋市の事例

この事例のお客様(Fさん)
- 売主:名古屋市にお住まいのFさん
- 売ったもの:名古屋市内の戸建。ご両親から相続した家で、Fさんご自身は住んでいませんでした
- 買主:同じ町内の会社
- きっかけ:知り合いの方からのご紹介(「相続の手続きに詳しい不動産会社がある」と聞いて)
- 結果:解体せず、更地にもせず、現況のまま売却。契約から約1ヶ月でお引き渡ししました
先にこの事例の結論を書いておきます。相続した親の家は、壊してから売るものだと思われがちです。でも今回は、解体費を1円もかけず、建物が付いたままで売却できました。買主は、同じ町内の会社。正式に売り出す前に、話がまとまりました。
「親の家を相続したけれど、住む予定はない。管理もこれ以上は大変」。そんな状態の家をどう手放すか、の一つの答えになる事例だと思います。私は不動産の仕事を28年やっています。この取引で考えたこと、実際にやったことを、正直に書いてみます。
ご相談のきっかけ

Fさんは、知り合いの方からのご紹介でした。「相続の手続きに詳しい不動産会社がある」と聞いて、ご連絡をくださったそうです。
ご両親が住んでいた名古屋市内の家。ご両親が亡くなられて相続したものの、Fさんの住まいは別にあります。誰も住まない家の管理を続けるのは、思っている以上に大変です。それで、処分の方向で相談に乗ることになりました。
まず整理したのは、売ることより前の話です。相続の登記はどう進めるか。司法書士の先生に流れをまとめてもらい、順番を固めるところから始めました。「まだ登記も終わっていないから相談できない」と思っている方が多いのですが、逆です。登記の前から一緒に整理した方が、あとの手戻りがありません。
この家の問題と、売り方の選択肢

建物は昭和60年築。中にはご両親の家財がそのまま残っていました。さらに現地をよく見ると、お隣の建物の一部が、こちらの敷地に越境していることも分かりました。古い住宅ローンの担保の登記も残ったままです。
この状態からの売り方を、Fさんと一緒に並べました。
| 選択肢 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 解体して更地で売る | 買い手の幅が広がる | 解体費が先にかかる |
| 現況のまま売る | 売主の負担がほぼゼロ | 買い手が限られ、事情の説明が必要 |
| 業者に買い取ってもらう | 早く確実に手放せる | 市場で売るより価格が下がりやすい |
机の上の比較だけではなく、業者の買取も実際に打診して、数字を並べました。選択肢は、想像ではなく実物で比べる。ここは手間を惜しみません。
見積もり比較の詳しい経過と、きょうだいで分ける相続(換価分割)の話は、こちらの記事に書きました。この記事では「売り方の決め方」に絞ってお話しします。
買主は、同じ町内にいました

転機は、Fさんがご近所へご挨拶に回ったときでした。会話の中で、同じ町内の会社が「ちょっと興味がある」と。どちらかが売り込んだわけではありません。ご挨拶の場の何気ない会話から、話が生まれたんです。
実は、その土地の近くにいる方や会社は、いちばん有力な買主候補です。土地の事情を知っていて、使い道も具体的に描ける。ただし、顔見知り同士の話だからこそ、あいまいなまま進めると後でこじれます。ここからが私の仕事でした。
やったことは3つです。
- 越境の整理:お隣の建物がこちらへはみ出している件を、覚書という書面にしました。今すぐ壊すのではなく、「将来建て替えるときに解消する」という約束を、次の持ち主にも引き継がれる形で残す方法です
- 残置物の相見積もり:家に残った家財の片付けは、4社から見積もりを取り比較。いちばん安い会社に決めました
- 相続と担保の後始末:相続登記の段取りと、残っていた古い住宅ローンの担保の登記を消す手続きを、お引き渡しまでに間に合う形で組みました
ちなみに、この覚書の相手方であるお隣も、ちょうど相続の手続きの最中でした。二つの家の相続が並行して動く中での書面調整は、正直、気を使いましたね。
価格の考え方=「条件と引き換えの落としどころ」
価格は、金額の駆け引きで決めたのではありません。条件とセットで決めました。
買主側から見ると、この取引には持ち込みにくい条件がいくつもあります。建物は壊さずそのまま。境界も越境も、覚書での整理のまま現状で引き受ける。普通の買主なら嫌がるところです。
逆に売主のFさんから見ると、解体費も片付けの手間の大半も、かけずに済む。つまり「売主が出費と手間を省ける分、価格で少し譲る」。双方が納得できる、いちばんすんなりまとまるところに着地させた金額なんです。
今回、Fさん側にかかった費用と、かからずに済んだ費用を並べておきます。
| かかった費用 | かからずに済んだ費用 |
|---|---|
| 残置物の片付け(4社比較で圧縮) | 建物の解体費 |
| 相続登記・担保の抹消などの登記費用 | 測量費(境界は現状のまま覚書で整理) |
| 仲介手数料(契約時と引き渡し時の2回に分けて) | 更地にした後の草刈り等の維持費 |
どれを・いつ払うのかは、最初の資金計画で全部お見せしてから進めます。ご相談と査定は無料です。まだ売ると決めていない段階からでも大丈夫です。
結果と、この事例から言えること

この家も、ポータルサイトに載せて売り出す前に、買主が決まりました。契約から約1ヶ月で決済・お引き渡しまで進み、Fさんは解体費をかけることなく、管理し続けていた親の家を手放せました。買主の会社は、建物を残したまま、使い道を自分たちで決められる形で引き継ぎました。
同じような状況の方に、この事例からお伝えできることは3つです。
- 解体を急がない。「壊してからでないと売れない」は思い込みです。現況のまま買える相手がいれば、解体費はまるごと浮きます
- 近くの方・会社は、最有力の買主候補。売り出しの前に、ご縁と会話の中に答えがあることがあります
- 越境や残置物は、売れない理由にはなりません。覚書や相見積もりで、一つずつ整理できます
ただし、ご近所同士・顔見知り同士の取引ほど、間に入る人間の段取りが大事です。書面をきちんと作り、あいまいさを残さない。そこだけは、プロに任せてください。
よくある質問
Q. 相続した実家は、解体してからでないと売れませんか?
いいえ。今回のように建物付き・現況のままで売れるケースがあります。解体費を先にかける前に、現況で買える相手がいないかを確かめる方が、売主の負担は小さくなります。
Q. 近所の方や会社に直接売るのは、ありですか?
ありです。ただし顔見知り同士だからこそ、価格の根拠・境界や越境の整理・契約書面は第三者がきちんと作った方が、双方のためになります。当社はその段取り一式をお引き受けします。
Q. 隣の建物がはみ出している(越境がある)家でも売れますか?
売れます。今回は「将来の建て替え時に解消する」という覚書を、次の持ち主にも引き継がれる形で交わして整理しました。壊さなくても、書面で解決できる場合があります。
Q. 相続登記がまだ終わっていなくても相談できますか?
できます。今回も、相続登記の流れの整理から一緒に始めました。売却と登記の段取りを同時に組んだ方が、全体が早く進みます。
さいごに
相続した親の家は、持っているだけで固定資産税と管理の手間がかかり続けます。かといって、慌てて解体するのも違う。売り方の選択肢を実物の数字で並べて、いちばん負担の少ない道を選ぶ。それが私の仕事です。
最初の一歩は、家がどこにあって、今どういう状態か。それを聞かせていただくところからで十分です。まだ売ると決めていない、という段階からでも大歓迎です。

不動産の仕事、28年。査定実績、5,000件超。
Googleクチコミ ★5.0
空き家売却の流れ
最初のご相談から引渡しまで、代表の佐藤が一緒に進めます。
④建物解体・⑤土地の測量は、状況により発生する工程です。
ご相談・査定は無料です。お電話が苦手な方は、フォームからのメールだけのやり取りでも大丈夫ですよ。
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