分譲マンション居住者必見!】2026年施行の改正区分所有法を3つのポイントを解説|高経年マンション救済
こんにちは、稲沢あんしん不動産の佐藤です。
「共用部分の修繕工事がなかなか管理組合の総会で話がまとまらない…」
「古いマンションだけど、このまま住み続けても大丈夫かな?」
「この先建て替えの話が出た場合だいじょうぶかな…」
現在分譲マンションにお住まいの方、これからマンション購入を検討されている方、マンションの将来のこと少し気になりませんか?
実は、こうした課題を解決するために、2025年5月に区分所有法の改正が可決・成立し、2026年4月から施行されることが決まりました。
今回は、この改正がマンション居住者の皆さんにどのような影響を与えるのか、28年の不動産業界経験をもとに、わかりやすく解説いたします。
そもそも区分所有法とは?
区分所有法は、正式には「建物の区分所有等に関する法律」といって、マンションのような1つの建物をいくつかの部屋に分けて所有する場合のルールを定めた法律です。
マンションでは、皆さんのお部屋は個人のものですが、廊下や階段、エレベーターはみんなで共有していますよね。こういった複雑な権利関係をスムーズに管理するための法律が区分所有法なんです。
マンションに住んでいる方は皆さん「区分所有者」となり、自動的にそのマンションの管理組合のメンバーになります。
なぜ今、法改正が必要だったのか?
全国で1,500万人以上の方がマンションにお住まいで、日本の人口の約1割、10人に1人はマンションに住んでいる状況です。
そのうち築40年を超える高経年マンションが137万戸もあり、さらに20年後には3.4倍まで増える見込みです。
高経年マンションが抱える2つの大きな課題があります:
1. 建物の老朽化
築40年を超えるマンションでは、設備の劣化や修繕の必要性が高まっています。
2. 住民の高齢化
築40年を超えるマンションでは、世帯主が70歳以上という世帯が半数を超えている状況です。
この2つの課題が重なると、以下のような問題が発生します:
- 役員の成り手がない
- 集会を開いても話がまとまらない
- 修繕積立金が足りない
実際に私が顧問として関わっているマンションでも、高齢化率の高いマンションでは、総会の際に聞こえづらい方がいらっしゃったり、足が不自由で会場への出席が困難な方もいらっしゃいます。
改正区分所有法の3つのポイント
今回の法改正では、これらの課題を解決するために以下の3つの主要な改正が行われました。
1. 管理組合の決議要件の緩和
現状の問題 これまでマンションの管理に無関心な人や所在不明な人も含めて、全区分所有者を分母にして多数決を行っていました。
そのため、理事会の皆さんは「総会に参加してください」「せめて委任状だけでも出してください」とお願いし続ける状況でした。
改正後の変更点
- 修繕などの決議が、集会に出席した人の議決権の多数決で決められるようになります
- ここでいう出席には、書面による委任状や代理による議決権行使も含まれます
- 欠席・無関心な人は分母に入らないため、参加した人の意思で前に進める設計になります
- 所在不明の区分所有者については、裁判所の認定を受けることで全ての決議の分母から除外可能
ただし、建て替えや区分所有権の処分を伴う重要な議題については、従来通り重い要件が適用されます。
2. 再生の選択肢が大幅に増加
これまで 古くなったマンションは基本的に建て替えが法律上の主役でした。
改正後の選択肢 以下の4つの選択肢が追加され、原則4/5の多数決で実行できます:
- 建物と敷地をまとめて売却
- 建物全体を一括リノベーション
- 建物を取り壊して敷地を売却
- 建物を取り壊すのみ
さらに、状況に応じて要件が緩和されます:
- 耐震性能不足などがある場合:3/4まで緩和
- 大規模災害で被災した場合:2/3まで緩和
- 所在不明の区分所有者:裁判所認定により分母から除外可能
3. 管理計画認定制度の拡充
管理計画認定制度とは、市町村が「きちんと管理されているマンション」として認定してくれる制度です。
改正前 既存マンションで希望する管理組合が市町村に申請して認定される仕組みでした。
改正後 新築マンションでも認定が可能になります。新築時にあらかじめ管理計画認定を受けて分譲されれば、購入者はより安心してマンションを購入できるようになります。
中古マンションを検討される際は、この認定を受けているかどうかも判断材料の一つになるでしょう。
マンション売却をお考えの方へ
今回の法改正により、マンションの管理運営は大きく変わります。特に高経年マンションでは、今後の方向性を決める重要な時期を迎えることになるでしょう。
「うちのマンション、将来的に大丈夫かな?」
「今のうちに売却を検討した方がいいのかしら?」
このようなご不安をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
私たちは、マンションの管理状況や将来性についても詳しく調査し、適切な価格査定を行います。
過去には売れにくいマンションの特徴についても詳しく解説しており、お客様の不安解消に努めています。
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改正法の注意点
今回の改正で意思決定は確かに早くなりますが、売却や建て替えなど大きな決断の場面では、多様な背景を持つ所有者の意見をまとめていく合意形成プロセスがこれまで以上に重要になります。
管理組合としては、決議の前にしっかりと情報を区分所有者の皆さんに共有し、総会に参加できない所有者の方にも十分説明する責任が今まで以上に重くなります。
まとめ
今回の改正区分所有法の主なポイントは以下の通りです:
- 管理組合の決議要件緩和:出席者の多数決で決議可能、所在不明者除外など
- 再生の選択肢拡大:建て替え以外にも売却やリノベーションなど多様な選択肢
- 管理計画認定制度拡充:新築マンションでも認定制度利用可能
今回の改正は、高経年マンションの2つの老い(建物の老朽化と住民の高齢化)という深刻な課題に対して、かなり踏み込んだ改正内容だと思います。
ただし、どんなに法律が改正されても、最終的な責任と判断は区分所有者である皆さん自身にあります。
今回の法改正を受けて、お住まいのマンションの今後について考える良い機会になるかもしれませんね。
マンション売却や管理に関するご相談は稲沢あんしん不動産まで
私たちは28年の不動産業界経験を活かし、マンション管理組合サポートも務めています。
マンション管理士の資格も保有しており、管理運営から売却まで幅広くサポートいたします。
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保有資格:宅地建物取引士/マンション管理士/FP2級 得意分野:不動産売却、相続、空き家対策、マンション管理 など