マンション大規模修繕で住民なりすまし事件が発覚!【2025年】知っておくべき対策と売却への影響



マンション大規模修繕で住民なりすまし事件が発覚!【2025年】知っておくべき対策と売却への影響

こんにちは。

稲沢あんしん不動産の佐藤です。

今回は、マンションにお住まいの方や、これからマンションの購入・売却をお考えの方に、ぜひ知っておいていただきたい衝撃的な事件についてお話しします。

2025年5月、神奈川県の分譲マンションで「住民なりすまし事件」が発覚しました。

なんと、全くの部外者が住民になりすまして修繕委員会に入り込み、9ヶ月間も誰も気づかなかったんです。

「えっ、そんなことできるの?」

私も最初このニュースを見た時は正直驚きました。

でも調べていくと、実はこれ、業界の闇というか氷山の一角なんですよね。

今回は、マンション管理士としての視点から、この事件の概要と対策、そしてマンション売却への影響についてお話しします。

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大規模修繕工事とは?これからマンション購入を考えている方へ

まず、これからマンションを購入しようと思っている方のために、大規模修繕工事について説明させてください。

大規模修繕工事というのは、わかりやすく言うとマンションの大きなメンテナンス工事のことです。

皆さんが街を歩いていると、マンションがシートで覆われて足場が組まれているのを見たことがありませんか?

あれが大規模修繕工事です。

だいたい12年から15年ごとに行う工事で、国土交通省のガイドラインでもこの周期が推奨されています。

具体的に何をやるかというと、外壁の塗装や補修、屋上の防水、手すりの塗装、そしてタイミングによっては給排水設備やエレベーターの修繕なども必要になってきます。

修繕積立金って何?住民の皆さんの大切な貯金

ここで「修繕積立金」について説明しておきますね。

修繕積立金というのは、わかりやすく言うとマンションの住民の皆さんが毎月コツコツ積み立てている、将来の修繕工事のための貯金です。

マンションって、一度建てたら終わりじゃないんです。

年数が経つにつれていろんなところが古くなってきます。

その修理のために、毎月みんなで少しずつお金を貯めていくわけです。

なぜ大規模修繕工事が狙われるのか?

では、なぜこの工事が狙われるのか。

ここがポイントなんですが、費用が高額なんです。

国土交通省の2025年の最新データによると、1戸あたりの工事費用がだいたい120万円から150万円くらいかかります。

もう少し具体的に言いますね。

愛知県の稲沢市や一宮市あたりで、駅前に50戸ぐらいの規模のマンションって多いんです。

50戸だと、50×150万円で7,500万円。

100戸以上のマンションなら1億5,000万円。

タワーマンションや大規模マンションだと、数億円規模の工事になります。

これ、1つの工事で億単位のお金が動くわけなんです。

工事業者さんからすれば、それは取りに行きますよね。

しかもこの大規模修繕工事というのは、取りっぱぐれがないんです。

住民の皆さんが毎月コツコツ積み立てている修繕積立金から払うわけですから、「倒産して払いません」なんて話にはならないんです。

そして、住民の方は建築のプロではない。

ここが味噌なんです。

相手が素人だから、利益を高く取りやすいわけなんです。

管理組合と修繕委員会とは

ここで「管理組合」と「修繕委員会」について説明させてください。

管理組合というのは、わかりやすく言うとマンションを買った人が自動的に入る、そのマンションを運営するための住民の組織のことです。

マンションを購入すると、皆さん自動的に組合員になります。

その管理組合の中に「理事会」といって、マンション全体の運営を決める組織があります。

理事会の役員は、だいたい輪番制といって公平に順番に住民の方が担当するんですね。

ただ、大規模修繕工事というのは準備だけで半年、長いと1年くらいかかるお仕事なんです。

理事会の通常の業務と並行してやるのは正直大変です。

そこで大きなマンションでは「修繕委員会」といって、理事会とは別に有志の住民を募って専門のチームを作るんです。

この修繕委員会で、工事会社の選定、工事内容の決定、予算の調整、住民への説明などを担当します。

事件の概要|9ヶ月間誰も気づかなかった巧妙な手口

では、今回の事件の概要をお話しします。

発生場所は神奈川県の分譲マンション。

期間は2024年8月から2025年5月までの約9ヶ月間。

逮捕された男性は、大阪にある修繕工事会社(ここではT社としましょう)の従業員2名です。

何をやったのか?

まず、住民になりすまして修繕委員会に参加。

そしてT社の元社員が代表を務めるコンサルタント会社に有利になるよう、内部で誘導していたんです。

結果として、2025年5月に住居侵入容疑で現行犯逮捕。

2人のうち1人は現行犯逮捕で、もう1人は逃走したものの後日逮捕されました。

管理組合は5月に発覚して、7月に偽計業務妨害罪と詐欺未遂で告訴したそうです。

巧妙すぎる手口を順番に解説

この手口が本当に巧妙なんです。

順番に見ていきましょう。

第1段階:覆面調査のアルバイト

マンションの集合ポストに「覆面調査のアルバイト募集」のチラシを投函したんです。

最初は飲食店の覆面調査って説明していたらしいんですね。

飲食店の覆面調査って聞くと、なんか普通にありそうじゃないですか。

ところが途中から、なぜかマンションの修繕調査にすり替わって、最終的には住民から名義を借りたと。

被害にあった住民の方は、とんでもないことをしてしまったと後悔されているでしょうね。

第2段階:修繕委員への潜入

次に、この借りた名義で修繕委員に申し込んで、理事会の承認を通って、誰も疑うことなく委員として活動したわけです。

第3段階:情報操作

恐ろしいのがここからなんですけど、大規模修繕工事を進めるにあたって、設計コンサルタント会社を公募することになったんですね。

設計コンサルタントというのは、わかりやすく言うと「どんな工事が必要か調べて、工事会社を選ぶ手伝いをしてくれる専門家」のことです。

逮捕された男性の1人が「自分は修繕に詳しいよ」と言って、この設計コンサルの公募の作業を買って出たんです。

複数のコンサルタント会社から応募があったわけですが、その情報を操作して、T社の元社員が代表を務めるコンサルタント会社に有利になるように誘導したんですね。

他社の評価を下げたりして、それを客観的な比較資料として委員会に提出したと。

住民からすると、ちゃんと複数の会社を比較して選んでいるつもりなんですよ。

でもその比較資料自体が操作されていたら、もうどうしようもないですね。

第4段階:発覚と逮捕

この工作によって契約まであと一歩のところまで来たんです。

でも他の住民がこれを不審に思って、事前に神奈川県警にも通報していたんですね。

委員会の場で「あなたは誰ですか?」と問い詰めたところ、1人は逃走、1人は現行犯逮捕という流れです。

業界の闘|これは氷山の一角に過ぎない

この事件が発覚したから良かったものの、もし発覚していなかったら住民の皆さんの大切な修繕積立金が不正に使われていた可能性があるわけです。

ここからが大事なお話なんですけど、この大規模修繕工事というのは業界の闇なんですね。

今回の事件は氷山の一角に過ぎないんです。

実は、この事件が発覚する少し前に、公正取引委員会が約30社以上の大手修繕工事会社に立ち入り検査を行っているんです。

これも大きなニュースになりました。

今年の3月〜7月ぐらいの話です。

談合とは何か

談合というのは、わかりやすく言うと、本当は競争して一番良い条件の会社を選ぶべきところを、事前に「今回はA社が取る、次はB社」と決めてしまって、表向きだけ競争しているように見せることです。

結果として工事費用が本来よりも高くなる。

高いということは、その分利益を工事業者がたくさん取れるということです。

そして工事費が高くなった分は誰が払うかというと、マンションに住む住民の皆さんですよね。

参考事例:修繕積立金を使い切る見積もり

参考事例をお話しします。

管理会社があって、そのグループ会社の建設会社が工事を受注する。

管理会社は修繕積立金がそのマンションにいくら溜まっているか、全部把握しているわけなんです。

だからその金額をちょうど使い切るような見積もりを出してくる。

私の知り合いのマンション管理士から聞いた話なんですが、ある管理会社が出してきた大規模修繕工事の見積もり額が、ちょうどそのマンションの修繕積立金残高とほぼ同じ金額だったことがあったそうです。

これ、どういうことかわかりますか?

財布の中身を知っているから、それに合わせた金額を出してきているんです。

その結果、今になって「お金がない」っていうマンションが本当に増えています。

私も実際にマンション管理のコンサルティングを行っているんですが、「今年大規模修繕工事の時期なんです」と管理会社から言われているのに、今現在お金が足りない。どうしたらいいですか?という相談を受けて、今もコンサルしているマンションがあります。

市場規模は巨大

なぜこういう不正が横行するかというと、市場の規模が巨大なんですね。

全国にマンションは約704万戸あります。

年間の大規模修繕工事の市場規模は5,000億から7,000億円。

2030年には8,200億円になるという予測もあります。

これだけの巨大な市場で、相手は建築のことを知らない素人。

工事のことはわからないし、適正価格もわからない。

そして時間もない中で、住民の皆さんはボランティアでやっている。

そこに談合とかで付け込まれやすいわけなんです。

設計監理方式について

ここで「設計監理方式」について説明しておきますね。

設計監理方式というのは、大規模修繕工事を進める時の方法の1つです。

少し前までは、管理会社主導で管理会社の系列の建設工事業者に頼むことが多かったんですが、最近は管理会社が指定する建設工事業者ではなく、その前に設計コンサルタントを入れて、専門家として業者を選定してもらう流れがちょっとずつ増えています。

本来は住民の味方として、専門知識がない住民の代わりに適正な工事会社を選んでくれるはずの仕組みなんです。

国土交通省の警告

ところが、実はこれ2017年から国土交通省が警告を出してるんですね。

国土交通省の公式文書にはこう書いてあります。

「設計監理方式において、不適切な設計コンサルタントが特定の工事事業者の受注に協力する事案が発生している」

つまり、住民の味方のはずのコンサルタントが実は特定の工事会社と繋がっていて、その会社が受注できるよう誘導しているケースがあるということです。

今回の事件は住民になりすましたケースでしたが、そもそも住民の方が設計コンサル会社と結託しているケースだってあり得るわけです。

対策方法|今すぐできることは何か

じゃあ対策はどうすればいいのか。

いくつかお話しします。

対策1:修繕委員を選ぶ時の身元確認

初回参加時に本人確認資料を提示してもらう。

そして管理規約にもそれを明記しておく。

規約に書いてあれば「規約で書いてあるので」と言いやすいですよね。

実は、先日改正された2025年10月の標準管理規約でも、「役員や専門委員の就任時の本人確認を適切に実施することが有効である」という文言が追加されました。

国もこの成りすまし問題を深刻に受け止めているわけです。

対策2:業者選定は必ず同じルールで公正に

住民の皆さんの前で同じ条件でプレゼンをしてもらって、特別扱いはしない。

コンサルティング会社を入れるなら、皆さんの前で説明を受けて多数決で決める。

必ず複数の比較。

これが大事です。

対策3:コンサルタント・業者の経歴を調べる

代表者の経歴はどうか。

どこか大きな会社の元社員じゃないかとか、過去の取引に偏りがないかとか、公正取引委員会の今回の調査対象企業じゃないかとか。

調べられることは調べておきましょう。

対策4:契約書に一筆入れてもらう

もし不正があった場合はお金を返すとか、違約金を払うとか、そういう条項を入れてもらうことも大事ですね。

マンションの売却をお考えの方へ

今回の事件や法改正で、今後マンションの運営管理は大きく変わっていきます。

「うちのマンションは大丈夫かな…」

「修繕積立金は足りているのかな…」

「今売ったらいくらになるんだろう…」

こうした疑問をお持ちの方は、まずは無料査定をご利用ください。

私はマンション管理士の資格を持ち、実際に分譲マンションの管理コンサルティングも行っています。

マンションの売買と管理の実務、両方に精通している不動産会社って実は少ないんです。

修繕積立金は足りているのか、長期修繕計画はちゃんと作られているのか、こういったマンション特有の問題を理解しているかどうかで、売却の提案も大きく変わってきます。

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マンション売却への影響|資産価値を守るために

ここまで聞いていただいて、皆さんのマンションは大丈夫でしょうか?

大規模修繕工事で悪質な業者に騙された場合、大切な修繕積立金を無駄に使ってしまっただけでは終わりません。

負の連鎖が始まる

次の大規模修繕工事のお金が足りなくなって、修繕積立金を値上げしないといけなくなる。

値上げをするとマンションが売りにくくなります。

売りにくくなるということは、資産価値が下がるということです。

皆さんの全員が持っている財布の中でやりくりするしかないんですね。

1回の大規模修繕で終わるわけじゃなくて、その先の工事もまたあるんです。

お金が足りなくなって修繕積立金を値上げすると、本当に不動産が売りにくくなるんです。

修繕積立金が上がりやすいマンションの特徴については、【マンション管理士監修】売れにくいマンションの特徴5選と確実に売る方法でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

管理会社任せの危険性

あと私が愛知県で感じているのが、マンションに高齢の方が住んでいて「管理会社さんが言っていることだから」って信用しきっている人が多いなということです。

お気持ちはわかります。

知らない人、全く知らない人に頼むとかは不安ですから、今まで通りが安心なんです。

でもね、結局自分たちの資産を守るのは自分たちしかいないんです。

管理会社も商売ですから、利益を出さないといけない。

それは当然のことです。

でもそれが適正な利益なのか、取られすぎているのか、見極める目は養っておかないといけません。

めんどくさいから、プロに任しておけば安心だから、って思考を停止してしまうのが一番カモになってしまうパターンです。

千葉でも類似事件が発生

この成りすまし事件ですが、類似の事件が神奈川だけじゃなくて千葉でもあったそうです。

でもこれはもう氷山の一角でしょうね。

決して「愛知県だからうちは大丈夫」とか思わないでほしいです。

まとめ|今回のポイント

今回のポイントをまとめます。

1. 大規模修繕工事は高額で、工事事業者にとっては魅力的な市場だからこそ狙われやすい

2. 今回の事件は氷山の一角。業界全体に談合や不正の問題がある

3. 修繕委員の身元確認の徹底、公正な業者選定、契約書への違約金条項の追加など、できる対策がある

4. 管理会社任せにしない。自分たちのマンションは自分たちで守る意識が大事

稲沢市・一宮市でマンション売却をお考えの方へ

これからマンションの売却をお考えの方へ。

今回の事件や法改正で、今後マンションの運営管理は大きく変わっていきます。

私はマンション管理士の資格を持って、実際に分譲マンションの管理コンサルティングを行っています。

マンションの売買と管理の実務、両方に精通している不動産会社って、実は少ないと思います。

修繕積立金は足りているのか、長期修繕計画はちゃんと作られているのか。

こういったマンション特有の問題を理解しているかどうかで、売却の提案も大きく変わってきます。

稲沢市、一宮市でマンションの売却をご検討の方は、ぜひご相談ください。

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今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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