【実話】近隣トラブルを隠して売却→456万円の賠償命令!不動産の告知義務を徹底解説



「456万円、払えますか?」
これは、近隣トラブルを隠して自宅を売却した売主が、
実際に裁判所から命じられた損害賠償の金額です。

「ご近所さんとトラブルがあったけど、今は落ち着いてるし…言わなくても大丈夫でしょ?」
「そんなこと正直に言ったら、売れなくなるじゃないですか」
こんにちは、稲沢あんしん不動産の佐藤です。
自宅を売却するとき、このように思われる方は少なくありません。
そのお気持ち、よくわかります。
でも、隠して売った方が後でとんでもないことになるんです。
今回は、不動産取引の実務に大きな影響を与えた大阪高裁の判例をもとに、「なぜ近隣トラブルなどマイナスなことを告知しないといけないのか」を分かりやすくお話しします。

佐藤高樹(稲沢あんしん不動産 代表)
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不動産業界28年の経験で、初めて不動産を売る方を伴走型サポートで、しっかりと結果が出ています。あなたの不動産売却に私の持っているリソースを集中させて早期売却・高値売却を一緒に目指します!
✓ 宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスター、マンション管理士
✓ 稲沢市・一宮市・清須市・あま市での豊富な実績
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✓ 相続・空き家問題解決の専門家として地域密着
「佐藤さんに相談すれば必ず解決してくれる」と言われる存在を目指しています。不動産の売却、実家の相続、空き家活用、住み替え相談など、まずは無料相談からお気軽にどうぞ。
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あなたは大丈夫ですか?チェックリスト

以下に1つでも当てはまる方は、要注意です。
☐ 過去にお隣さんと揉めたことがある
☐ 騒音や境界のことで苦情を言われたことがある
☐ 自治会や警察に相談したことがある
☐ 「最近は落ち着いたから大丈夫」と思っている
☐ 「そんなこと言ったら売れない」と思っている
1つでも当てはまった方、この記事を最後まで読んでください。
結論:近隣トラブルを隠して売ると損害賠償になる
先に結論をお伝えします。
近隣トラブルを隠して自宅を売った場合、後でそれが判明すると「契約解除」や「損害賠償」を請求されることになります。
マイナスなことは必ず最初に正直に、かつ具体的に購入を検討している方に告知してください。
それがあなたの身を守ることになります。
【実際の裁判例】売買代金の20%、456万円の賠償命令

これは大阪高等裁判所で平成16年(2004年)12月2日に出された判決です。
近隣トラブルの説明義務違反を初めて認めた先駆的な判例として、判例時報1898号64頁に掲載され、現在の不動産取引実務に大きな影響を与えています。
売主Aさんが受けていた被害(近隣トラブル)

売主Aさんは妻と幼い子供たちと一緒に、閑静な住宅地の建物に住んでいました。
平成11年11月、入居翌日のことです。
突然、隣人から怒鳴られました。
「子供がうるさい。黙らせろ!」
その後もトラブルは続きました。
平成12年3月頃には、子供がうるさいと怒った隣人から洗濯物に水をかけられ、泥を投げつけられる被害を受けました。
売主Aさんは色々と対策をしました。
- 波板を設置して目隠しにした
- 子供部屋を隣人から離れた東側に移動させた
- 自治会長に相談した
- 警察にも相談した
でも結局、このまま住み続けるのは無理だと判断して、売却を決意したんですね。
内見当日に何が起きたか
平成14年3月3日、売却活動をスタートして購入を検討したいという方が、1日のうちに朝と昼の2組見えました。
【午前中の内見】
売主側の不動産会社と買主側の不動産会社が、別の購入希望者を案内しました。
たまたまその時、隣人が「うるさい」と苦情を言ってきたんです。
この購入希望者はそれを見て、購入を断念しました。
【同日午後の内見】
買主Dさんの奥様とお子さんたちが内覧に訪れました。
このときはたまたま隣人からの苦情がありませんでした。
売主Aさんの回答がこのあとの裁判の問題に

内覧で気に入った買主Dさんは、売主Aさんに直接こう聞きました。
「隣の人との関係はどうですか?」
皆さんも不動産を探すとき、聞きますよね。
売主Aさんは何て答えたか。
「子供部屋を移動させましたが、その後は隣の人から怒られたことはないですよ」
これ、嘘ではないんですよね。
子供部屋を移動させた後は、確かに直接怒られることは減っていたのかもしれません。
でもこの売主Aさん、重要な事実を伝えていなかったんです。
- 入居翌日から始まった激しい苦情のこと
- 洗濯物に水や泥をかけられたこと
- 警察や自治会長に相談していたこと
- この内覧の日の午前中に、別の内覧者がトラブルを目撃して購入を断念したこと
物件状況報告書(告知書)にも「隣接地の住人より騒音等に苦情があった」としか書いていませんでした。
トラブルの深刻さ、具体的に何があったかという詳しいことまで書かれていなかったんですね。
買主Dさんの身に起きた悲劇

想像してみてください。
念願のマイホームを手に入れて、家族で引っ越してきた。
その直後です。
「うるさいんじゃー!あんたのガキ!」
「追い出したるからな!」
大声で怒鳴られる。
ステレオの音量を最大にされる。
建物目がけてホースで放水され、室内が水浸しになる。
これが、買主Dさんの身に実際に起きたことです。
事態は警察沙汰にまで発展し、買主Dさんは最終的に居住を断念することになりました。
そしてこの買主Dさんは、売主から「最近は問題ない」と聞いていたんです。
裁判所の判決

裁判所は売主と不動産仲介業者の説明義務違反を認め、売買代金2,280万円の20%である456万円の損害賠償を命じました。
これは売主と不動産仲介業者が連帯して、一緒にこの金額を払いなさいという判決です。
裁判所は何と言ったか。
「買主から直接質問された重要事項については、売主も説明義務を負う」
「その後は怒られたことがない」という回答は、買主に「最近は問題がないんだな」と誤信させた。
これが説明義務違反だと判断されました。
この判決が示した重要な法的ルール

この判決は、近隣トラブルの説明義務違反を認めた初めての裁判例として、以下の重要なルールを示しました。
ルール①:売主も説明義務を負う場合がある
不動産会社に仲介を依頼している場合でも、買主から直接質問された重要事項については、売主本人も説明義務を負います。
「不動産会社に任せてるから、自分は関係ない」とは言えないんです。
ルール②:仲介業者は「迷惑な隣人」について説明義務がある
裁判所はこう述べました。
「居住用不動産の売買の仲介を行う宅地建物取引業者は、当該不動産の隣人について迷惑行為を行う可能性が高く、その程度も著しいなど、購入者が当該建物において居住するのに支障を来すおそれがあるような事情について客観的事実を認識した場合には、説明する義務を負う」
つまり、宅建業法35条に書いてある項目だけでなく、居住に重大な影響を及ぼす事項は説明しなければならないということです。
ルール③:買主本人への直接説明が必要
この事件では、売主側の不動産会社は買主側の不動産会社にトラブルの概要を説明していました。
しかし、買主側の不動産会社は買主本人に説明しなかったんです。
なぜか?
契約が破棄されると仲介手数料が得られないからです。
裁判所は、仲介業者間で情報を伝えただけでは説明義務は果たされないと判断しました。
買主本人への直接説明が必要だったということです。
このように、不動産会社によって対応は大きく異なります。
代表 佐藤この買主側の不動産仲介会社はありえない対応です
「だから売れない あなたを「特別扱い」にしない従来型の不動産販売手法の限界」でも詳しく解説していますが、売主のことを本当に考えてくれる不動産会社選びが大切です。


物件状況報告書(告知書)とは?


不動産売却の流れについては「初めてでも安心!不動産売却の流れを8ステップで簡単解説」で詳しく解説していますが、その中で出てくる「物件状況報告書」について説明します。
物件状況報告書とは、売買契約の時に添付する書類です。
分かりやすく言うと、売主さんが買う人に対して「この物件はこういう状態ですよ、それを分かって買ってくださいね」という説明をする書面のことです。
告知書とも呼ばれています。
告知する内容の種類
不動産の瑕疵(かし:欠陥のこと)は、4つの種類に分類されます。
1. 物理的瑕疵
目に見えている建物や土地そのものの問題です。
例:雨漏りがあった、シロアリがあった、地盤が沈下している など
2. 法的瑕疵
法令上の制限や権利関係の問題です。
例:建築基準法違反、接道義務を満たしていない など
3. 心理的瑕疵
建物自体に問題がないけど、住むには心理的に抵抗を感じるような事実です。
例:過去に事件や事故がお部屋の中であった など
4. 環境的瑕疵
今回の裁判で問題になった近隣トラブルは、この環境的瑕疵に分類されます。
周辺環境に関すること、騒音、電車の音、匂い、近くに工場がある などです。
一戸建ての場合に告知すべきこと
- 境界標がちゃんとあるかどうか
- お隣さんとの間で紛争やトラブルがあるかどうか(あったかどうか)
- 地中に昔の井戸や浄化槽が埋まっていないか
- 過去に浸水の被害があったかどうか
- シロアリの被害や雨漏りがあったかどうか
中古マンションの場合に告知すべきこと
- 上下階の音、隣との音、過去に騒音トラブルがなかったか
- 共用部分の使い方で住民同士のトラブルがあったか
- 管理費・修繕積立金の値上げ予定や滞納があるか
付帯設備表と物件状況報告書について詳しくは「付帯設備表と物件状況報告書|不動産売買の契約不適合責任リスク回避」でも解説しています。
また、売却時に必要な書類は物件状況報告書だけではありません。
「【警告】不動産売却の必要書類、まさか紛失?再発行できない書類で売却が台無しに…」で詳しく解説していますので、売却をお考えの方はぜひご確認ください。
今回の判例から学べる大切なこと


今回の判例から学べることは「過去に苦情があった」と書くだけでは足りないということです。
- いつ、どんな内容の苦情だったか
- どのくらい深刻だったのか
- 警察や自治会に相談したか
- どう対処したのか
- 現在の状況はどうか
こういった具体的な内容まで書いて初めて、購入を検討している人が正しく判断できるんです。
私はお客様に物件状況報告書をお願いするとき、こうお伝えしています。
「悪いところはもう具体的に詳しく書いてください。結果的に売れにくくなっても、それがあなたを守ることになるんです」
「なんて書いたらいいですか?」と質問されたら、こう答えています。
「それを聞いたら買わなかったと思うことは全部書いてください」と。
売主さんがよく誤解する3つのこと


ここで、売主さんがよく誤解される3つのことをお話しします。
誤解①「嘘をつかなければ大丈夫」
今回の売主さんは「過去に苦情を言われた」と告知書に書いていました。
嘘はついていなかったんです。
でも重要な事実を具体的に伝えていなかったことが、説明義務違反とされました。
嘘をつかないのは当たり前で、きちんと説明することが大事なんです。
誤解②「告知書に書いてあるから大丈夫」
今回の判例でも、告知書には「騒音による苦情があった」と書いてありました。
でもそれだけでは不十分でした。
トラブルの深刻さが伝わらなかったんです。
だから買主さんも「大丈夫だろう」と思って購入に至りました。
ただ書いただけでは足りず、正確に深刻さが伝わったかどうかが大切なんです。
誤解③「最近は大丈夫だから大丈夫」
今回の売主さんも「その後は怒られたことがない」と言いました。
確かに最近は落ち着いていたのかもしれません。
でも過去にどれだけ深刻なトラブルがあったかは、買う人の判断に大きく影響します。
今の状況だけではなく、過去の事実も含めて告知する必要があります。
「詳しく書いたら売れなくなるんじゃ…」という心配


「そんなに詳しく書いたら、不動産売れなくなるんじゃないですか?」
こう心配される方、多いと思います。
正直に言います。
告知したら売れにくくなることはあります。
今回みたいな「隣の人が怒鳴ってくる」「泥を投げてくる」「警察沙汰になった」という内容、聞いた日には正直、私だったら取り扱いできませんというレベルです。
でもですね。
黙って売って、後で分かってしまって大きなトラブルになることを考えたら、これは仕方がないです。
後から発覚した時のデメリットが大きすぎるんです。
今回の判例、最終的にどうなったかというと、売買代金2,280万円の20%、456万円の賠償命令が出ています。
この「売買代金の20%」という損害額の算定は、類似案件における損害算定の目安としても参照されています。
売れにくくなるかもしれない。
価格が安くなるかもしれない。
でもそれと456万円の賠償、どっちを取りますかという話です。
正直に伝えた上で、納得して買ってもらう。
これが一番です。
相続した物件を売却する場合は要注意
ちなみに、相続した物件を売却する場合は、さらに注意が必要です。
親御さんが住んでいた時代に起きたトラブルを、相続人であるあなたが把握していないケースがあるからです。
「親から何も聞いていない」と思っていても、実は近隣との間でトラブルがあった…ということは珍しくありません。
相続した物件の売却は、境界問題や建物の越境、相続登記など複雑な問題が絡むことが多いです。
「【相続問題解決】築40年の実家相続で発覚!8つの問題と解決までの道のり」でも事例を紹介していますが、早めに専門家に相談することをおすすめします。
売却のご相談をお考えの方へ
「これって告知すべき内容なの?」
「どこまで具体的に書けばいいの?」
「書いたら売れなくなるんじゃ…」
一人で悩んでいませんか?
物件状況報告書の書き方は、実は不動産会社によって対応が全然違います。
「とりあえず書いておけばいいですよ」と言う会社もあれば、私のように「具体的に書いてください、それがあなたを守ります」と言う会社もあります。
28年の経験から言えることは、最初の相談相手を間違えると、後で取り返しがつかなくなるということです。
まずは、あなたの状況を聞かせてください。
何を書くべきか、どう書くべきか、一緒に考えましょう。
まとめ:4つのポイント
最後に、今日のポイントをまとめます。
1. 近隣トラブルを隠して売ると、後で大変なことになる
今回の判例では売買代金の20%、456万円の賠償命令が出ました。この判決は現在も不動産取引実務に大きな影響を与えています。
2. 嘘はついていなくても、重要な事実が伝わっていなければ説明義務違反となる
「書いておけばいい」ではダメなんです。
3. 物件状況報告書に「苦情があった」と書くだけでは不十分
いつ、どんな内容か、どのくらい深刻か、具体的な内容を書く必要があります。
4. 告知したら売れにくくなることはある。でも後から発覚した時のデメリットの方が大きい
物件状況報告書は売却の障害ではなく、あなたの身を守るための盾です。
最後に


ここまで読んでくださったあなたは、きっと「正直に売りたい」と思っている方だと思います。
その気持ち、大切にしてください。
不動産の売却は、人生で何度もあることではありません。
だからこそ、後悔のない形で終わらせてほしいんです。
「書いたら売れないかも」という不安があるのは当然です。
でも、正直に伝えた上で「それでも買いたい」と言ってくれる買主さんと出会えたら、それが一番いい取引だと思いませんか?
私は、そういう売却のお手伝いがしたいと思っています。
一人で悩まず、まずはご相談ください。
稲沢あんしん不動産 佐藤高樹
【保有資格】宅地建物取引士/不動産コンサルティングマスター/相続対策専門士
【得意分野】不動産売却、相続、空き家対策 など
▼公式サイト
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▼お問い合わせフォーム
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