相続した土地を売りたい|何から始める?登記・税金・売却の順番

最終更新日:2026年8月
相続した土地をどう売ればいいのか、名義や税金がわからないまま止まっている方に向けて、①相続登記が済んでいないと売れないという事実、②相続税と譲渡所得税という2つの税金の整理のしかた、③土地の状態(実家の跡地・農地・空き地など)ごとの進め方の違い、この3つを中心にお伝えします。
まず確認:相続登記が済んでいないと土地は売れません

「相続した土地を売りたい」と思ったとき、最初に立ち止まってほしいところがあります。土地の名義が、亡くなった方のままになっていないかという点です。
不動産を売るには、売る人(売主)が登記簿上の所有者でなければなりません。
亡くなった方の名義のままでは、契約自体ができないんです。
まず相続登記(名義変更)を済ませる必要があります。

2024年4月から、相続登記は義務化されました。
相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に、登記の申請をしなければなりません。
「そのうちやろう」と後回しにしていた方も、実は期限がもう迫っているケースがあります。
まず確認すべきことは、法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取り、今の名義がどうなっているかを見ることです。
名義が亡くなった方のままなら、相続登記が先。

すでに相続人の名義に変わっているなら、次の税金の話へ進んで大丈夫です。
相続登記の必要書類は戸籍謄本や遺産分割協議書など多岐にわたり、揃えるだけでも手間がかかります。
自分でやるか、司法書士さんに任せるかで迷う方も多いところです。
書類の一覧や、司法書士さんに頼むかどうかの判断基準は、それぞれ別の記事にまとめてあります。
ちなみに、登記が終わっていなくても、査定や売却の相談自体は先に受けられます。「名義が済んでからでないと相談してはいけない」わけではありません。むしろ、登記の手続きと並行して売却の準備を進めたほうが、時間を無駄にせずに済みます。
税金の心配は「2つに分ける」と楽になります

相続した土地の話になると、税金の不安が一気に大きくなる方が多いです。ただ、ここで混同しやすいものがあります。「相続税」と「売ったときの税金(譲渡所得税)」は、まったく別の税金だということです。ここを最初に分けて考えると、随分と気持ちが楽になります。
相続税がかかるかどうかは「基礎控除」で決まる
相続税は、相続した財産の合計額が一定の金額(基礎控除)を超えた場合にかかります。
基礎控除の計算式は次のとおりです。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
例えば、法定相続人が2人であれば、基礎控除は4,200万円です。

相続した財産の合計(土地だけでなく預貯金なども含めた全体)がこの金額以内であれば、相続税はかかりません。
実は、相続税がかかるご家庭は思っているより少なく、基礎控除の範囲に収まるケースが多いというのが、これまで多くの相続案件を見てきた実感です。
相続税がかかる場合は、亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に、申告と納税をする必要があります(国税庁「相続税の申告と納税」参照)。
ご自身の場合に相続税がかかるかどうか、また具体的な金額の目安については、こちらの記事で計算方法を詳しく解説しています。
売ったときの税金(譲渡所得税)は、相続税とは別の話
もう一つが、土地を売って利益が出たときにかかる譲渡所得税です。
こちらは相続税とは計算の仕組みがまったく違い、相続税がかからない方でも発生することがあります。
譲渡所得税は、売れた金額から「取得費」と「譲渡費用(仲介手数料や測量費、解体費用など)」を差し引いた利益にかかります。ここに、相続した土地ならではの注意点があります。取得費は、亡くなった方が実際にその土地を買ったときの金額を、そのまま引き継ぐという決まりになっているんです(国税庁「相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」参照)。
これが厄介なところで、何十年も前に買った土地だと、当時の売買契約書がもう見つからない、というご家庭が実は少なくありません。
取得費がわからない場合は、売却価格の5%を取得費として計算することになります。

実際の取得費より低く見積もられることが多く、その分、利益(譲渡所得)が大きく計算され、税金が高くなりがちです。
ただ、相続税を実際に支払った方には、取得費加算の特例という救済策があります。相続税の申告期限の翌日から3年以内に売却すれば、支払った相続税の一部を取得費に加算でき、譲渡所得税を抑えられる場合があります(国税庁「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」参照)。この特例は期限が決まっているため、相続税を払った方は、売るタイミングを早めに検討しておく価値があります。
なお、相続した実家の建物を解体して更地にしてから売る場合、条件を満たせば「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの3,000万円特別控除」が使える場合があります。
ただ、建物の築年数や、相続してから譲渡するまでの敷地の使い方など、細かい条件があり、一律には言えません。
この特例に絞って詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
兄弟で相続した土地は「誰の名義で売るか」を先に決める

ご両親が亡くなり、実家の土地を兄弟姉妹で相続する、というケースは本当によくあります。ここで多くの方がつまずくのが、土地を「誰の名義」で売るのかという問題です。
土地を複数人の共有名義のまま相続すると、売却にはその全員の同意と、全員の実印・印鑑証明書が必要になります。
誰か一人でも連絡が取りにくい、意見が合わない、となると、話が止まってしまいます。
しかも共有名義のまま次の世代に相続が進むと、権利を持つ人がさらに枝分かれし、後になるほど話をまとめるのが難しくなります。

このため、実務では次のどちらかの進め方を選ぶことが多いです。
- 兄弟のうち代表者1人の名義にしてから売り、売却代金を法定相続分などで分ける(換価分割)
- 最初から共有名義のまま登記し、全員で売買契約に加わる
どちらが良いかは、ご家族の状況(兄弟の人数、遠方に住んでいるか、関係性など)によって変わります。
実際に兄弟で相続した実家を、換価分割という方法で売却まで進めた事例を、こちらの記事にまとめています。
正直に言うと、兄弟間の話し合いが揉める原因は、不動産そのものよりも、もっと昔からの感情のことが多いです。だからこそ「誰が悪い・正しい」という話ではなく、査定額という客観的な数字を間に置いて、「売る」という一点に話を進めていくことが、結果的に一番早く前に進む方法だと感じています。
土地の状態で進め方が変わります

一口に「相続した土地」といっても、状態によって進め方も注意すべき点も変わります。
ご自身の土地がどれに近いか、まず整理してみてください。
実家の跡地(建物が残っている・解体を考えている)
亡くなったご両親が住んでいた実家がそのまま残っている場合、「建物を残したまま売るか」「解体して更地にしてから売るか」の判断が最初に来ます。
実はこの判断ひとつで、売れるまでの期間も、最終的な手取りも変わってきます。
それぞれのメリット・デメリットは、こちらで詳しく比較しています。
解体する場合は、業者選びも慎重に進めたいところです。金額だけで決めてしまうと、後で近隣とのトラブルにつながることもあります。
農地(田・畑)
相続した土地が田や畑の場合、宅地とは違うルールがあります。農地は農地法という法律の対象で、売却するには農業委員会の許可や届出が必要になります。当社は宅地建物取引業の免許で仕事をしており、市街化調整区域にある農地そのものは、取り扱いの対象外になります。同じ農地でも、市街化区域にあって宅地へ転用できる場合は事情が変わってきます。まずはご自身の土地がどちらにあたるか、農業委員会や市役所の窓口で確認いただくところから始めるとよいと思います。詳しくは以下の記事をご覧ください。
市街化調整区域の土地(宅地)
農地ではなく、実家が建っていた宅地であれば、市街化調整区域内であっても当社で取り扱いできます。
ただ、市街化調整区域は再建築に制限があることが多く、買う側にとっての使いみちが限られるため、売り方に工夫が要ります。
月極駐車場として貸している土地
土地を月極駐車場として活用しながら相続した場合は、経営を続けるか売るかの判断がまた別に必要になります。
こちらは専用の記事にまとめてありますので、そちらをご覧ください。
売却の流れと期間の目安
相続登記の見通しが立ち、税金の整理もできてきたら、いよいよ売却です。
土地を売る一般的な流れと、それぞれにかかる期間の目安は、以下の記事にまとめています。
相続かどうかにかかわらず、土地を売るときの実務(現地確認・境界の確認・接道の状況など)を詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
相続した土地の場合、名義変更が済んでいるかどうかで、動き出すタイミングが変わります。
査定や相談自体は登記前でも受けられますが、実際の売買契約は名義変更が終わってからになります。

全体でどれくらいの時間がかかるかは、土地の状態や名義人の人数によって差が大きいところです。
まずは今の状況をお聞かせいただければ、大まかな見通しをお伝えできます。
名義・税金・売却をまとめて進めたい方へ

相続した土地のご相談で、私が実際にやっていること
相続した土地のご相談を受けるとき、最初にやることは、法務局で登記事項証明書を取り、今の名義がどうなっているかを確認することです。名義が済んでいなければ、信頼できる司法書士さんをご紹介し、書類のやり取りを一緒に整理します。相続登記を切り離して依頼するのではなく、その先の売却までを見越して、どのタイミングで何を揃えればいいかを最初にお伝えするようにしています。
境界がはっきりしない土地も少なくありません。境界標が残っていればそれで済むこともありますが、無い場合は測量が必要になります。実は、境界がはっきりしていない土地は、後になるほど話がまとまりにくくなります。当時の事情を知っている近隣の方が、年月が経つほど減っていくからです。だからこそ、測量が必要な土地は早めに手配することをお勧めしています。
もう一つ、相続した土地でよくあるのが、相続人の方が遠方に住んでいるケースです。現地に来られない方でも、電話やビデオ通話でやり取りしながら進められます。実際に、遠方に住む相続人の方から売却のご依頼をいただき、無事に成約まで進んだ事例があります。

相続した土地のご相談では、次のようなことをまとめて対応しています。
- 名義の確認と、司法書士さんとの調整
- 相続税・譲渡所得税の整理
- 境界・測量の手配
- 遠方の相続人の方とのやり取り
最初のご相談から最後まで、私が自分で対応します。途中で担当が変わったり、複数の窓口をたらい回しにされたりすることはありません。
よくある質問
- 登記が終わっていなくても、査定をお願いできますか?
はい、大丈夫です。
登記が済んでいなくても、現状の確認や査定のご相談は先にお受けできます。
むしろ、登記の手続きと並行して進めたほうが、売却までの時間を短くできます。
- 取得費がわからない場合は、どうすればいいですか?
昔の売買契約書や領収書が残っていないか、まず探してみてください。
見つからない場合は、売却価格の5%を取得費として計算する方法がありますが、実際の取得費より低くなることが多く、その分、税金が高くなりがちです。
ご相談いただければ、目安の計算からご案内します。
- 農地はすぐに売れますか?
農地は宅地と違い、農業委員会の許可や届出など、法律で決められた手続きが必要になります。
買う相手も農業をする方に限られることが多く、宅地に比べて時間がかかる傾向があります。
まずは現状をお聞かせください。
- 遠方に住んでいても、売却を進められますか?
進められます。
電話やビデオ通話でやり取りしながら、現地の対応はこちらで行いますので、何度も足を運んでいただく必要はありません。
実際に遠方の相続人の方から、成約まで進んだ事例もあります。
まとめ|まず登記簿を確認することから
相続した土地を売りたいと思ったら、最初にやることはシンプルです。法務局で登記簿を確認し、名義が誰になっているかを見ること。ここがスタート地点です。
税金は、相続税と譲渡所得税を分けて考えれば、必要以上に怖がる必要はありません。
兄弟での共有名義も、土地の状態(農地・市街化調整区域・古家付きなど)も、それぞれに合った進め方があります。
ここまで読んでいただいても、「結局うちの場合はどうすればいいのか」という部分は、土地ごとに事情が違うため、一般論では判断がつかないことがほとんどだと思います。名義の確認から税金の整理、売却まで、私がまとめて対応しますので、まずは今の状況をお聞かせください。登記が済んでいなくても、遠方にお住まいでも、ご相談いただけます。

※税金に関する記載は一般的な制度の説明であり、個別の事情によって取り扱いが異なる場合があります。
正確な内容は税理士など専門家にご確認ください。

